「非常に厳しい数字」「来春闘に水を差すような内容」冬のボーナス、4年連続引き上げも… 労組側はさらなる賃上げ要求
医療現場「賃上げ対策なければ“深刻な状況”通り過ぎる」
この日の会見には、医療などの産業別労組の担当者も出席した。 医療や介護、福祉の現場で働く労働者で組織される、日本医療労働組合連合会(医労連)の書記長・米沢哲氏は「今後、賃上げ対策がとられなければ、現場の人手不足は『深刻な状況』を通り過ぎてしまう」として、次のように訴えた。 「物価高騰が生活を直撃しているなかで、すべての産業で『賃上げをするのは当たり前』という状況になっているかと思います。 にもかかわらず、医療現場で働く人の一時金は、マイナスという結果になってしまいました。こうした状況を受け、われわれが一番危惧しているのは、現場から人が離れてしまうのではないかということです。 実際、現場では退職や離職をする職員が出てきており、それによって、『ベッドを稼働させられなくなった』というような話も聞いています。 一時金がマイナスとなってしまった大きな理由としては、病院などの施設の、経営状況の悪化があげられます。その根本には、制度や政策上の問題があるのではないでしょうか。 政府も、ケア労働者の賃上げをしなければならないと言っており、補正予算でも議論にあがりましたが、その規模や内容は、われわれの求めている内容にはまだまだ及んでいません。 現状、すでに医師や看護師、介護職といった職業は、就職先として選ばれない職業になりつつあります。今後、直接賃上げにつながる政策を実施するなど、対策をしていかなければ、病棟の閉鎖や、患者が手術を受けられないといった影響が出てきかねません。 そうならないように、医労連としては政治に働きかけをしていきたいですし、皆さんにも、こうした実態を知ってほしいと思います」(米沢氏)
「来春闘に水を差すような内容だったが…」
黒澤氏は会見の終盤、改めて今後の大幅な賃上げ実現を訴えた。 「われわれ労働組合だけでなく、政府や財界も『賃上げが必要』ということを掲げており、世の中的にも、賃金引き上げへの機運が高まっています。 にもかかわらず、この年末一時金の回答状況は、来春闘に水を差すような内容になってしまったのではないでしょうか。 ですが、われわれは今後も、来春闘を含め、大幅な賃金の引き上げ実現を追及していきたいと思います」
弁護士JP編集部