「非常に厳しい数字」「来春闘に水を差すような内容」冬のボーナス、4年連続引き上げも… 労組側はさらなる賃上げ要求
労働組合の全国組織・全国労働組合総連合(全労連)は12月18日、2024年の年末一時金(ボーナス)について集計結果を発表した。 集計結果によると、正規雇用で働く労働者らに2024年に支払われた年末一時金は、平均2.02か月分の60万5184円で、支給月数は昨年の2.04か月分から減少した一方、59万5147円だった昨年から、約1万円上昇。金額としては2020年以降4年連続の引き上げとなった。 ただ、全労連事務局長の黒澤幸一氏は、一時金の昨年からの引き上げ率が平均1.69%であったことなどを理由に、次のようにコメントした。 「2024年の春闘では、われわれの集計で、3.49%、1万163円の賃上げがありました。春闘の賃上げ分を考えれば、一時金の引き上げ率も3~4%を上回ってしかるべきと考えていましたので、引き上げ額や引き上げ率が昨年並みにとどまったというのは、非常に厳しい数字です。 企業側が人件費の総額を増やさないように、この年末一時金で、かなり調整を行っているのではないかと思いますが、これでは、昨今の激しい物価高騰を補うのには、十分ではありません。 現在の物価にも対応できるよう、引き続き企業側と交渉し、賃上げを求めていきたいです」
「医療分野で6万円以上のマイナス、福祉・介護も厳しい結果」
今回発表されたデータは、590の労働組合での年末一時金について、金額や昨年からの引き上げ率などについて集計を行ったもの。 黒澤氏は集計結果から見る今年の特徴について、以下のようにコメントする。 「産業別で見ていくと、鉱業・建設、製造業、運輸・通信、金融・保険、卸売・小売業、マスコミ関係、それから社会福祉・介護の分野の一時金は、昨年を上回る結果となりました。 しかし、医療の分野で非常に低い数字が出ているというのが、今年の最大の特徴です。昨年と比較すると、6万円以上金額が減り、引き上げ率も約1割のマイナスとなっています。 加えて、社会福祉・介護の分野では約9万円のプラスとなりましたが、これは学童保育に関わる組合員がかなり頑張って支給額を上げさせた結果が反映されたもので、その他の福祉や介護の職場では、医療の分野と同じように、大変厳しい結果になっています」 また、210の組合で上積み回答を得られたといい、黒澤氏は「医療の分野など、大変厳しい数字を提示されたところでも、労働組合による粘り強い交渉の結果、回答額を引き上げさせた組合が多数ある」と評価した。 一方、集計によると、非正規雇用労働者の一時金は平均7万6034円で、こちらも4年連続の引き上げとなった。 「昨年比で1万1253円の引き上げが実現し、かなりの上積みが得られたとも言えますが、まだまだ低い金額ですので、十分とは言えません」(黒澤氏)