湯崎英彦・広島県知事に聞く(全文3完)日本の新モデル・広島県で実現したい
50年後も日本がフロントランナーでいるための努力が必要
── 最後の質問ですが、50年後の広島県に対して知事が持っているイメージや未来像を教えてください。 50年後の未来像というのは、人口はもちろん縮小しているというところだと思いますけれども、非常に大事なことは、日本というのは、今いろいろな側面でフロントランナーであって、それが変わっていない、ということですよね。つまり、50年後の日本で暮らしている人たちとか子どもたちが、世界で真ん中辺だ、そういう状況になってはいけないなと思うんですね。そのためには、技術であるとか、あるいは経済的にも力をつけていく、常にフロントランナーでいる、ということが必要で、今フロントランナーなわけですから、それを維持していくと。そのための努力が必要だと思いますね。50年後もそうであると。 ということは、イノベーティブ、クリエーティブな経済であったり、社会であるということと、それから日本人の暮らし方、広島県でそれを実現しようとしているわけですけれども、暮らし方としては、しっかりと働きながら、しっかりと暮らしも構築していける、ということですね。ワーク・ライフ・バランスがとれたもの、われわれは「欲張りライフ」と言っていますけれども、仕事でも暮らしでも、自らの希望が実現できる。端的に言うと、自分の好きなワーク・ライフ・バランスを選ぶことができる。自然の中で、あるいは自然に近いところで人間らしく暮らしていける。そういう姿ですかね。 ── 今言っていた「欲張りライフ」が、50年後、広島では普通だ、と。 当たり前だと。それをもうちょっと早く実現したいですけどね、50年後じゃなくて。 ── その50年につながれば。 それが50年後もそうであるという。
従来モデルはもう終わった ── 新しいライフスタイル、生き方を広島県で実現したい
── 今は、子どもたちが未来に希望を持ちにくいかもしれないですが、日本がフロントランナーでいるような仕組みにする。そしていいワーク・ライフ・バランス。今の人口減少が社会システムを見直すきっかけになる。 そうですね。日本は幾つかシステムの変革を経てきていますけれども、基本的に今は、明治以来の流れがまだ続いていると思うんですね。本来、それは1980年代とか90年代の初めぐらいには終わって、新しいライフスタイルであるとか、システムを目指していかなければいけなかったのですが、それをずっと模索をしてきたのではないかと思うんですね。それで、バブルの時代には「24時間働けますか」ということになって、そこから通商摩擦などもあって、企業が非常にグローバルに展開をしていくと、生産も移して。 それに伴って、日本人が普通に海外で働いていく、それはますます、どちらかというと、仕事にどんどん専念するというモデルですよね。家庭で言えば、お父さんが外で働いて、お母さんは専業主婦みたいなモデルだったわけですが、そのモデルはもう終わったと思うんですね。それは女性自身の自己実現の話、それから労働力の話、それもありますし。今、目指しているものが、既にゴールはかなりはっきりしていて、それにいかに効率的にいくかというモデルではなくて、ゴール自体を探さなければいけない、そこで非常にクリエーティビティが求められるようになってきています。 そのためには、今のような、とにかく猛烈に働きましょう、というモデルから、自分一人の中でもいろいろな経験をしていくことによって、そういう不確実なところを切り開いていく力をつけていく、ということが必要なので、それに応じたライフスタイルモデルをつくるということですね。それが、今のわれわれで言うところの「欲張りライフ」ということだと思いますが、そういう意味で、新しい日本人が目指すべきライフスタイル、生き方みたいな、そういうことをまずは、広島県で実現できたらなと思いますね。 ── これからも注目したいと思います。お忙しい中、本当にありがとうございました。 ありがとうございました。