ヨコシマな心では当たらない? 香りを聞き、違いを嗅ぎ分ける「組香」の極意とは?
モテる男には和のたしなみも大切だと、小誌・石井編集長(50歳)が、最高峰の和文化体験を提供する「和塾」田中康嗣代表のもと、モテる旦那を目指す連載です。今回のテーマは「香道」。後編では実際に香道を体験し、作法などを学んでいきます。 【前編】知るほどに深く面白い! “大人の遊び”「香道」の世界とは?
かねてから「和のたしなみを学びたい!」と熱望していた石井洋編集長が、和の達人から様々な知識と心得を学び、旦那、つまり一枚上手の上級なオヤジを目指す連載「モテる旦那養成講座」。案内役は、本物の日本文化体験を提供する「和塾」の田中康嗣代表です。 今回のテーマは「香道」。香道は、茶道、華道、能などとともに中世に誕生、天然香木の香りを楽しみ、判別するという独自の文化を構築し、志野流歴代家元20人が連綿とその文化を継承してきました。 前編では主に香道の歴史について、志野流の第21世家元継承者である蜂谷宗苾(はちや・そうひつ)さんにご教授いただきましたが、後編では実際に香道を体験し、作法などを学んでいきます。
香道は感性や感覚を取り戻す作業でもある
田中康嗣さん(以下、田中) 前回は香りの文化や香道の成り立ち、歴史などを教えていただきましたが、今回は香道を学ぶ方々に混ざって、実際にどんな稽古がされているのか体験してみたいと思います。その中で組香(くみこう)という香りを当てるゲームもしてくださるとのことなんですが、どうですか、石井さん。 石井 洋編集長(以下、石井) 僕、香りというか匂いにはちょっと自信があるんですよ。小学生の頃、匂いで友達を嗅ぎ分けていましたから。遊ぶ時ってあちこちに上着を脱ぐじゃないですか。帰る時ひとつずつ嗅いで「あ、これあっちゃんの、ケンくんの」って渡していたけど、外したことなかったですから!(自信満々) 田中 ずいぶんと鼻が良いんですね(笑)。でもこれでハードルが上がりましたよ。さあ~この後どうなるか、楽しみだ。
ここからは場所を移して、聞香席に参加します。会場となった広間には艶やかな着物姿の女性たちが集い、顔見知りの方も多いのか話が弾んでいます。皆が着座したところで、宗苾若宗匠の登場です。 蜂谷宗苾さん(以下、蜂谷) 本日は、まず、当家に伝わる銘香を「一炷聞」(いっちゅうぎき)という形で、沈香の香りは一体どういう香りがするのか感じていただきたいと思います。香道ではその香りを感じ取ることを「嗅ぐ」ではなく、「聞く」と表現しますが、中国では、「聞」という漢字の意味は香りを嗅ぐであり、匂いが良いことは「好聞」となります。また、仏教用語としても法華経の中に「聞香」という言葉が出てきます。私自身は、香りを心で感じ取ることが肝要だと考えています。 それでは、先ずはじめに季節に合わせ(※取材は2月)、先代、私の祖父である19代宗由が「籬(まがき)の梅」と銘を付けた香りをお楽しみください。