キオクシアが東証上場、順調な滑り出し-終値は公開価格比10%高
(ブルームバーグ): キオクシアホールディングスが18日、東京証券取引所プライム市場に上場した。年内最後の大型の新規株式公開(IPO)として市場の注目を集めたが、滑り出しは順調で終値は公開価格から10%高となる1601円となった。
午前9時に付いた初値は公開価格比1%安の1440円だったが、その後はじわじわ買われる展開になり、午後には一時公開価格を約16%上回る1689円を付ける場面も見られた。
初日の株価の動きについてアセットマネジメントOneの岩本誠一郎ファンドマネジャーは、これからの回復期待があるのだろうとの見方を示した。公開価格が安い水準で決まったことも買いを集めたとみる。
ブルームバーグのデータによると、キオクシアの株価純資産倍率(PBR)は約1.7倍。競合する米マイクロン・テクノロジーの約2.7倍に比べて割安だ。
アシンメトリック・アドバイザーズの日本株ストラテジスト、アミール・アンバーザデ氏は、公開価格が仮条件の中間で決まったことを考慮すれば、それを上回って推移しているのは、比較的良いサインだと評価した。
大引け後に都内で記者会見した早坂伸夫社長は、キオクシアはNAND型フラッシュメモリー専業だが、同分野では非常によいポジションにおり、今後も「AIの普及によって拡大できる」との考えを示した。一方で、NAND以外のデバイスの研究開発を進めており、新しいビジネスの柱も模索していくという。
キオクシアに間接出資する韓国のSKハイニックスとの今後の関係性については「直接の株主ではない」としてコメントを控えた。共同生産する米ウエスタンデジタルとは20年来のパートナーで、現在も非常に強固な関係だと認めながら、経営統合交渉の進ちょくについて問われると「全くない」と述べた。
また、専務執行役員の花沢秀樹氏は株主還元の方針について、「まず財務体質を改善し、持続的な成長をするための投資をしっかりやっていく」と話し、当面は設備投資などを優先する考えを示した。