3速ATで「カウンタック」や「テスタロッサ」より速かった! バブルに乗り遅れた「ヴェクター」とは?…現在の相場は1億円以上!!
流麗で有機的な美しさの両立を目指したWX-3
W8 ツインターボが一定の評価を得たと判断したヴェクターは、1991年から次期モデルの開発に着手。その後、1992年のジュネーヴ・ショーにて「アヴテック WX-3」プロトタイプを発表した。戦闘機にインスパイアされたW8のデザインから進化したWX-3クーペは、それまでと変わらず航空宇宙産業の技術を多用しながらも、流麗で有機的な美しさの両立を目指したとされる。 翌年の同じジュネーヴ・ショーでは、アヴテック WX-3クーペにくわえ、WX-3R ロードスターという「サプライズ」を携えてブースを構えることになる。 双方ともボンネットの下には、オールアルミの「ローデック」社製V型8気筒ツインターボエンジンと、大幅に改良されたGM製「ターボハイドラマチック425」トランスミッションを搭載。時速200マイル(約320km/h)をはるかに超えるスピードを獲得し、とくに後者のロードスターは当時の世界最速オープンスポーツを標榜していた。
マーケットの評価はいかに?
2024年8月に開催されたRMサザビーズ「Monterey 2024」オークションには、ヴェクターの波乱万丈な歴史を彩る2台のプロトタイプと2台の生産モデル、合わせて4台が出品された。
1991 Vector W8 Twin Turbo
ヴェクター初の生産モデルであるW8 ツインターボは17台が生産されたといわれているが、オークション出品車はそのうちの1台。パープルのボディにブラックのオールレザー・トリムに仕上げられた唯一の個体とされ、新車として購入された際の請求書や通信記録など、詳細な資料が揃っている 2023年、ヴェクター・オートモーティブ社の元エンジニアリング主任、デビッド・コストカ氏が、総合的な整備を施したとのことである。 RMサザビーズと「The Turbollection」の協議のもと、80万ドル~100万ドル(邦貨換算約1億1500万円~約1億4400万円)のエスティメート(推定落札価格)が設定されたが、競売では落札に至らず。しかしそののち、営業部門を介して販売されたようである。
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