ガイドスキル×英語力を育てる「アドベンチャートラベルガイド育成コース」とは
激増するインバウンド観光客に対応すべく行われている取り組みのひとつが、新潟県の専門学校で来年から新設されるアドベンチャートラベルコース。その内容を紹介しよう。 【写真6枚】キャンパス内には、クライミング&ボルダリングウォールやキャンプフィールドも。「アドベンチャートラベルガイド育成コース」で行われる実習を写真で見る
アウトドア専門学校が新設!
授業の6割は実習。夏はシーカヤックにキャンプ道具を積み込んでツーリングに出発する。 新潟県の南西部に位置する妙高市の国際自然環境アウトドア専門学校は、今年で創立20年目を迎えた日本で唯一のアウトドア総合学校だ。広大な自然に囲まれた場所で、アウトドアガイド学科、アウトドアビジネス学科、山岳プロ学科など、6つのなかから希望の学科を選んで学ぶことができる。 そのなかのアウトドアガイド学科に、来年から新設されるコースが、アドベンチャートラベル(=AT)ガイドコースだ。ATとは、アクティビティー、自然、異文化体験の3つの要素のうち、2つ以上で構成される旅行スタイルのこと。 「海外では、ただの観光旅行ではなく、ATが主流です。とくに欧米は自然体験をひとつのレクリエーションとして捉えているので、日本よりお金をかけてガイドを育成しています」 と、副校長の植木潤さん。インバウンド需要を想定したATガイドとなると、通常のガイド力のほかに語学力も必要だ。 「ただ山を安全に登るだけではなく、動植物についての知識や、ときには文化的背景も知っておく必要があります。もともと外国人は、行く先の土地の文化をしっかり勉強する傾向があります。見るだけでなく、説明を聞かないとわからない情報を伝えるためにも、ATガイドには英語力が不可欠なのです」 妙高エリアも、シンガポールの投資会社による一大リゾート開発が進んでいることから、さらにインバウンド客が増えることが予想されるそう。今後、そのようなローカルな場所が増えていくことを考えると、国際感覚も養う必要がある。 「5年ほど前からアウトドアビジネス分野について、アメリカや中国からの問い合わせが増えています。今年度から留学生も受け入れているので、アメリカ、中国、フィリピンや台湾出身の学生もいますが、日本人より自然環境やアウトドアをビジネスチャンスとして捉えています」 インバウンド需要の高まりが、学校の国際化につながっている。 「もっと日本の魅力を伝えるために、語学力のあるガイドを育てることが大切なんです」 アウトドアアクティビティーのガイドスキルを得るため、サイクリングやパラグライダー、ハイキングなどさまざまな実習を行なう。 さらに、留学生を交えた英会話の授業や、海外への短期留学なども思案中。 ◆ガイドの養成から環境保全、ギアビジネスまで学べる ・i-nac国際自然環境アウトドア専門学校 住所:新潟県妙高市原通70 キャンパス内にはクライミング&ボルダリングウォールが設置され、キャンプフィールド(ソロテントなら200張り可能)もある。今年秋には新潟の人気店・WESTがキャンパス内に出店し、学生が一緒に運営する予定だ。 ※構成/大石裕美 (BE-PAL 2024年10月号より)
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