じつは大学に進学予定も独立リーグ入りし、NPBの選手となった山本祐大。高校時代は外野手だった野球人生を本人が振り返った photograph by Kiichi Matsumoto

　昨季からDeNAのスタメンマスクをかぶる機会が増え、正捕手への歩みを見せる山本祐大。ハマの扇の要はどのような野球人生を歩み、今シーズンを迎えたのか。これまでの道のりと今季への覚悟について話を聞いた。(Number Webインタビュー全2回の第2回/前編はこちら) 【当時の写真】「今とぜんぜん違う！」外野手だった頃の坊主頭＆日焼けした山本祐大の姿…DeNA入団から日本代表捕手になるまでの軌跡とあわせて見る

「自分なんかが」と思ったんですよ

　山本祐大といって忘れてはならないのが、3月に開催された『カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024　日本 vs 欧州代表』の出場選手に選出されたことだろう。初の侍ジャパンへの参加。山本は学生時代も含め日本代表に選出されたことはない。あの時のことを山本は、少しだけテンションを上げて語った。 「やっぱり憧れていた場所ですし、声を掛けて頂いた時は『自分なんかが……』と思ったんですよ」 　練習に合流すると源田壮亮(西武)や村上宗隆(ヤクルト)、近藤健介(ソフトバンク)などの1年前のワールド・ベースボール・クラシック優勝メンバーに加え、坂倉将吾(広島)など同世代や更に若い選手たちが意気揚々として汗を流している姿が目に入った。それはどこか眩しさを感じる光景だった。 「代表メンバーと一緒に過ごしていると『自分なんかが……』って思っている自分がちっぽけだなとすごく感じたんですよ。皆、そんなことを考えている素振りもないというか、自分のプレーに対してすごく自信を持っている。そんな格好いい姿を見て、自分も見習わなければいけないと感じたんです」

井端監督は「山本が良かった」

　日本代表という誇りと責任。初めは遠慮がちだったが、貪欲な性格である山本の意識が高まったのは言うまでもないだろう。 　プレーでは第2戦でスタメンマスクをかぶり、金丸夢斗(関西大)や中村優斗(愛知工大)らドラフト上位候補のボールを受けるなど、6回まで5投手を完全リレーでリードした。更に先制の犠牲フライを放つなど勝利に貢献。試合後、井端弘和監督は「山本が良かった。投手主導のリードで金丸や中村の持ち味を存分に引き出してくれた。チームが流れに乗れる一つの理由だったと思います」と高評価を下している。 「いや、僕がなにをしたというわけではないんですけど、能力の高い大学生と組ませてもらったり、各チームの主力のピッチャーのボールを受けさせてもらって、シンプルに楽しかったんですよ。ボールを受けている時間がすごく幸せだったので、改めて野球が好きなんだなって感じられた瞬間でもありました。また11月に試合(WBSCプレミア12)があると聞いているので、そのメンバーに入りたいという気持ちが強くなりました」 　山本は野球への愛を滲ませ、笑顔でそう語った。