Web3推進は維持か──自民新総裁に石破氏
自民党の新しい総裁に、石破茂氏が選出された。岸田首相の退任後、新首相となる。 岸田首相は8月、次の自民党総裁選挙に出馬しないと表明。総裁選には石破氏をはじめ、決選投票で敗れた高市氏、小泉氏など9人が立候補、新総裁の座を争った。 岸田氏の不出馬表明は支持率が低迷していたとはいえ、突然のニュースだった。そしてWeb3業界にも波紋を呼んだ。 8月23日、N.Avenue clubが主催するラウンドテーブル(勉強会)に登壇した自民党デジタル社会推進本部web3プロジェクトチーム(web3PT)の事務局長、川崎ひでと衆議院議員は、冒頭の挨拶で岸田首相の総裁選不出馬に触れ、「自民党はもともとWeb3に前向きではなかったが、岸田首相に直談判し、岸田政権がWeb3を国家戦略に掲げたことで大きく進んだ」「新政権にその熱量が引き継がれる保証はない」と懸念を表明していた。 総裁選では石破氏は有力候補とされながらも、国会議員の支持を集めることは難しいとの見方もあった。総裁選の終盤、石破氏が岸田路線を継承する姿勢を強めたことが勝利につながったようだ。
アナログの価値をデジタルで最大化
石破氏は、以前から「地方創生」を政策の柱とし、今回の総裁選でも「地方創生2.0」を掲げ、「日本経済の起爆剤としての大規模な地方創生策を講じる」「アナログの価値をデジタルで最大化する」と述べていた。 アナログの価値をデジタルで最大化する──この表現に既視感を覚える方もおられるはずだ。 「NFTは、デジタルアートではなくて、日本が1000年、2000年かけて培ってきたアナログの価値を最大化するもの。そのためのブロックチェーンだと考えている」 「日本の体験価値、アナログの価値をデジタル(NFT)を使ってグローバル価格にしたい」 7月に京都で開催された「IVS Crypto/JBW Summt」などで、このように語っていたのは、自民党web3PT座長の平将明議員だ。 平議員は今回、石破氏の推薦人となっており、以前は水月会(石破派)に所属していた(水月会は2021年に派閥を解消、石破グループとなったが、石破氏は総裁選前にグループを解散している)。 石破氏の「地方創生2.0」構想は、Web3技術を使って情報格差を解消し、企業の地方進出を後押しする。デジタルを活用した地方創生で東京一極集中を是正すると伝えられている。こうした政策は、平氏がバックアップしていると見てよいだろう。 岸田氏の退任で、国のWeb3推進の行方が懸念されたが、石破氏が新総裁に決まったことで、Web3推進路線は維持となりそうだ。むしろ平氏の去就次第では、より積極的に進むかもしれない。 |文:増田隆幸|画像:「石破茂-総裁選特設サイト-2024」より(キャプチャ)※編集部より:本文を一部修正して、更新しました。
CoinDesk Japan 編集部