【高校ラグビー】京都工学院が伏工魂でチーム最多得点し大勝発進
◇全国高校ラグビー大会1回戦 京都工学院112―0聖光学院(2024年12月27日 花園ラグビー場) 【写真】伏見工が初優勝した1980年度の第60回全国高校ラグビー大会で躍動するSO平尾誠二(1981年1月撮影) 4度の優勝を果たした伏見工が前身の京都工学院(京都)は聖光学院(福島)に112―0で大勝。U―17日本代表SO杉山祐太朗(2年)が1トライ5Gの活躍で、同校史上最多得点を大幅に更新する猛攻を呼んだ。現校名では初勝利。 全国制覇4度を誇る赤黒ジャージーが花園に帰ってきた。京都工学院側の応援席は通路も試合を見ようとする観客で埋まった。その期待に応えるかのように同校史上最多得点を大幅に更新する112得点大勝。3度目の全国制覇を果たした2000年度の主将で、19年から母校を率いる大島淳史監督(42)は「緊張があったと思うけど自分たちのやるべきことを生徒たちがやり続けられたのは良かった」と称えた。 攻撃陣をリードしたのは、1年時から背番号10を背負う司令塔の杉山だ。伝統の展開ラグビーを継承して左右へとボールを動かし、アタックをけん引。前半17分には自陣でパスを受け、隙を突いてランで突破。巧みなステップで相手をかわして自らトライを挙げた。「憧れの舞台。そこで自分の持ち味を出そうと思っていた」。前半のみで退きながらコンバージョンキックは9本中5本成功。計15得点をマークした。 熊本県出身で「公立の強いところに行きたい」と考えていた杉山。中学時代の指導者と大島監督の縁もあり、人気ドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデルで、平尾誠二氏や大八木淳史氏らを輩出した伏見工を前身とする京都工学院へと進学した。今季はU―17日本代表にも選出。ゲームメーク能力に優れ「平尾2世」と呼ばれる。亡き「ミスター・ラグビー」は目標とする存在で、今もYouTubeでプレー動画を見ることもある。 「まだまだ(平尾さんの)レベルに達していないけど、この花園で活躍して、少しでも近づけるように頑張りたい」。16年に洛陽工と統合されて現校名になってから初勝利。黒いパンツに刺しゅうされている「信は力なり」のごとく、伏見工の伝統は受け継がれている。2回戦の相手はBシードの中部大春日丘(愛知)。春の練習試合で敗れた相手との一戦で真価が問われる。 (西海 康平) ◇杉山 祐太朗(すぎやま・ゆうたろう)2007年(平19)8月12日生まれ、熊本市出身の17歳。祖父や父、兄の影響で5歳から熊本RSでラグビーを始め、京都工学院に進学。祖父と父は医師で、同校では進学型のフロンティア理数科で学ぶ。50メートル走6秒3。U―17日本代表。1メートル74、76キロ。SO。 ▽京都工学院 伏見工と洛陽工が統合し、2016年に開校。今年で9年目を迎える。生徒数は男子593人、女子80人。学科は、フロンティア理数科(進学型専門学科)とプロジェクト工学科(工業科)。前身の伏見工ラグビー部は1959年創部。冬の全国高校ラグビー大会は今年度を含めて21度目の出場で、優勝4度。主なOBには故・平尾誠二氏、大八木淳史氏、北川俊澄氏、田中史朗氏、松田力也(リーグワン1部トヨタ)らがいる。