お墓の跡継ぎ問題、仏壇を置く場所がない、散骨の注意点、家族葬の弔意は…多様化する「令和の弔い方」お悩みQ&A
故人の弔い方もさまざまな形があるいま、小規模な葬儀を選択したり、簡略化した仏具を選ぶ人も増えています。これから求められるのは、遺された家族にストレスのない向き合い方と、故人の意志を尊重する寛容な心かもしれません。
Q1. お墓を購入したいのですが、跡継ぎがおらず管理が不安です。また、いつ買うべきですか?
A. これまではお墓というと代々で管理するのが一般的でしたが、跡継ぎがいない、子孫に手間を掛けたくないと、寺院や霊園が代わって管理や供養をする永代供養を選ぶ人も増えています。また期限内は通常のお墓が建ち、それ以降は永代供養に切り替わる「期限付き墓地」という選択肢も。葬式が終わってからお墓を探す人もいますが、さまざまな選択肢があるいま、元気なうちに本人と家族で話し合い、互いの意向を確認しておくのがよいでしょう。
Q2. 家が狭く、仏壇を置くスペースがありません。ほかにどのような選択肢がありますか?
A. 近ごろは住宅事情の変化もあって、コンパクトな仏壇が増えています。決して立派なものを置かねばならないと気負う必要はなく、家のサイズに合った仏壇を選ぶとよいでしょう。より場所を取らない厨子という選択肢も。厨子は大切なものを納める箱のことですが、どこにでも置くことができますし、デザインも多様化しています。仏像や位牌など最低限を揃えるだけでよいため、管理もしやすいのが特長。ペットのために置く方もいます。 <写真>場所を選ばないコンパクトな厨子(H27.3×W39㎝)。(ギャラリー厨子屋 tel.03-3538-5118)
Q3. 家族がお墓への埋葬ではなく、散骨を希望しています。気をつけることは?
A. ゆかりの地で散骨を希望する人もいますが、山中でも私有地や国有地に、所有者や管理者の許可なく散骨するのはNG。川や陸地に近い海に撒くのも、水産物への風評被害が生じたりトラブルの恐れがあるので、注意が必要です。こういったことに配慮し、漁業への影響も考慮して沖合に散骨する「海洋散骨」という方法があり、専門業者も。スムーズに散骨するならこういった方法を検討してみるのも一案です。
Q4. 仏壇を購入するタイミングは、いつが好ましいのでしょうか?
A. 四十九日までに仏壇を用意するのが望ましいですが、急なことだった場合は、長く付き合っていくもののため焦らずに考えて、仏壇を用意するまでは位牌だけを置いておくことでも問題はありません。しかし、さまざまな選択肢があるいま、あらかじめ備えておけると安心です。生前に家族と話し合い、ある程度の目星をつけておいたり、余裕をもって生前に購入しておくことは決して悪いことではありません。
Q5. 家族葬だからと参列を断られる場合、弔意はどう表しますか?
A. 家族のみで執り行う家族葬が増えています。家族葬だと知らせを受けた場合は、近親者以外は参列を控えましょう。後日、本葬やお別れの会があればそちらに参列します。そういった場もないときは、お悔やみの手紙をしたため香典を送るとよいでしょう。親しかった故人に別れを言いたくても、押しかけるのはマナー違反。遺族の気持ちを優先し、負担にならない方法で哀悼の意を表します。 全体監修=丹生谷真美 編集・文=吉岡博恵、八木あきほ(ともに婦人画報編集部) 取材協力=長谷川将平(ギャラリー厨子屋)、川島敦郎(メモリアルアートの大野屋) 『婦人画報』2024年7月号別冊