【ロッテ】ファンからの「厳しい激励」を覚悟して1人立った佐々木朗希の目と耳に残ったものは
ロッテ佐々木朗希投手(23)が17日、ZOZOマリンで行われたファン感謝デー「MARINES FANFEST 2024」に参加し、開会式でファンにあいさつした。 【写真】やや照れた表情で、ほっぺハートポーズをする佐々木朗希 先に開会あいさつをした吉井理人監督(59)に紹介される形で、マイクの前に立った。手を前で組み、口角を上げながら穏やかに立つ。 話し出す前に、スタンドの誰かが「頑張れ~!!」と叫ぶと、触発されたかのようにいくつもの「頑張れ~!!」「朗希~!!」が重なった。 球団が9日、ポスティングによるメジャー挑戦を容認すると発表した。本人もこの日、大勢のファンの前であらためて「メジャーに挑戦することになりました」「アメリカで頑張ってきます」と明言した。 必ずしも容認する義務はなかった中で球団が容認した、というのが事実だ。それでも佐々木には「早い」と批判が飛んだ。まだロッテの優勝に貢献していないじゃないか-。“25歳ルール”に該当しない26年オフ以降の移籍ならばロッテ球団への譲渡金も跳ね上がるのに-。そんな意見が広がった。 佐々木は大船渡高時代から、自身の記事などを割と目にするタイプだった。今回も当然のように世の声はインプットされる。この日のあいさつでも「これまでいただいた熱いご声援、厳しい激励」と表現した。 日刊スポーツが16日朝に「ファン感謝デーであいさつ」という記事を報じると、一部ではブーイングへの懸念も世に出た。SNSでも意見が交わされた。 だから「厳しい激励」と言ったのだろう。賛否両論がありえる集団の中心に1人で立つことは、勇気も必要だ。仲間や師の支えがありながらも1人で立ち、自分の言葉を響かせた。あいさつが終わるとまた「頑張れ~!!」と拍手に包まれ、岩手から駆けつけた佐々木の親族らも万感の表情で拍手を送っていた。 生まれ育った陸前高田市で少年時代に東日本大震災にあい、大船渡市へ移住した。それでも「大事な場所だし友達も多いから」と、成人式では2つの市の式典をハシゴするような心の深さがある。 アメリカへ旅立ち、最後はどこまで行くのか。いつか再びNPBで投げることがあるとするのなら、かぶる帽子はロッテのものなのだろうか。記憶力のいいその目と耳には、文字列や厳しいブーイングではなく、確かなぬくもりが残った。【金子真仁】