栗栖記者と毛ヅヤピカピカのライラック

［ＧⅡ府中牝馬ステークス＝２０２４年１０月１４日（月曜）３歳上・牝、東京競馬場・芝１８００メートル］ 　馬房を訪れると顔を出して見つめてくれたライラック（牝５・相沢）。昨年末から調子が振るわず成績不振に苦しんでいましたが、厩舎に取材に行ってみると、そこから抜け出そうとしていました。そんなライラックは月曜メインの府中牝馬Ｓに出走します。 　今年に入っての２戦は１０→１４着。そんな低迷の原因を「（２走前の）阪神牝馬Ｓのときに馬がイライラしてカイバを食べられなくなって、そのままヴィクトリア（マイル）まで尾を引いた感じ。精神面でイライラしすぎていました」と担当の三尾助手が話してくれました。確かに馬体重を見ても、阪神牝馬Ｓのときにガクッと減っている（４４８→４３２キロ）のが分かります。その状況は「馬にとって精神的にも肉体的にもしんどかった」というものでした。 　ですが、今回は「そのしんどさがないですし、カイ食いはいいです。競馬にはプラス体重で行けると思うので」と春の不振から脱却しつつあるようです。実際に馬体が減っているときの動画を見せていただきましたが、目の前にいるライラックと比べると大違い。今のライラックはしっかりして、毛ヅヤもピカピカに見えます。 　帰厩後は、馬格は良くなっていたものの走りにはまだ不安があったとのこと。稽古をつけている中尾助手は「ここ最近、乗り出しの前進気勢が強すぎて馬具を替えてみました」と言います。その馬具の工夫は三尾助手が教えてくれました。「帰ってきてから稽古でかかることが多くなってきたので、勉強している若い子とかに馬具のことを聞いて、キネトン（ひっかかる馬を制御する作用が強い鼻革）にたどりつきました」。自厩舎にとどまらず他厩舎の人からも情報を入手して、決まったそうです。 　実際に「その効果があるのか、馬が楽に走れるようになっているし、ジョッキーを乗せた追い切りでもかからず追い切りができた」と三尾助手は笑顔。中尾助手も「キネトンを使っていい方向に向いて、収まりも利いていますし、フォームも戻りつつあります」と走りもかなり良化しているようで、期待できそうですね。 「競馬に持っていくまでの過程ではいい状態でこれた」と中尾助手は話します。「馬具を替えてからの期間は短いので、競馬につながってくれたらいいんですけどね。もともと能力がある馬なので、何とか調子を戻したいです」。あとは実戦に行ってここまで積み重ねたことを競馬で発揮できるかだけ。「いいときに戻りつつある」（同助手）ライラックが頑張ってきたことを発揮できますように。