[元警察官が解説] 電動キックボードって本当に安全に走れるの?
都内を中心に普及してきた電動キックボード。免許やヘルメット不要という気軽さから利用者も増えているが、交通ルールを無視した走行も相次いでおり、度々問題となっている。安全安心に乗るためのポイントを元白バイ警官の宅島奈津子さんが語る。 【写真をまとめて見る】〈2024年5月版〉50cc原付バイクおすすめ12選 2023年7月に道路交通法の一部が改正され、電動キックボードに代表される特定小型原動機付自転車という区分が創設されました。これに伴い、16歳以上であれば免許なしでも乗車することができるようになったのは記憶に新しいところです。 ところがそんな気軽さも相まってか、乗車マナーの欠如や違反行為、交通事故の増加しているといった現状が問題視されています。
免許不要となったことへの賛否両論の意見
この電動キックボード、都心ではちらほら見かけるようになりましたが、地方ではまだまだ馴染みのない乗り物。免許がなくても乗車できるといった気軽さから、今後さらに利用者数が増加していくものだと言われています。 生活利便を追求し、利便性が上がるとマイナスの面やデメリットといったことも生じてくるのはこの電動キックボードに関しても同様です。 車に乗るほどでもない、だけど歩くには遠い、といった距離を移動するには最適でコンパクトなのにモーターのおかげで楽に乗ることができ、排気ガスを出すこともないとメリットはたくさんあります。 しかしデメリットとして、危険性が挙げられるようになってきました。 冒頭で道路交通法の一部が改正されたことを述べましたが、運転免許がなくても乗車可能としたのはなぜなのか、といった議論も挙がっています。電動キックボードによる違反行為が急増し、その違反行ためによって引き起こされる交通事故も増加しているわけです。 その理由は簡潔に言えば、性能上の最高速度や大きさが自転車と同程度であるためとされています。自転車と同じように守るべき交通ルールが明確化され、それらを徹底的に周知させることで交通秩序が確立していくのではないかという見立てなのです。個人的にはこれは安易な考え方ではないか、というふうにも感じます。 だからといって私自身は反対派なのかと言ったらそうではありません。私自身、オートバイが大好きなので、いろんな乗り物があっていいと思っています。 ただ、免許がないということは、交通ルールを知らない/交通マナーを守れない、ということ。 そんな人たちが道路交通法上の“車両”を運転するとなると、あちこちで事故が起こるということは容易に想像できることです。ふだん、車道を走っているのはほとんどが免許を持っている人たちですが、それでも交通事故が日常的に起こっています。 免許を持っていても事故が起きるのに、持っていない人が運転するとさらに事故が増えることは明らかなのです。