ライバルはテスラModel S、BMW3シリーズ? BYDシールは性能に対してバーゲン価格だ
走行性能も高いが注目は充電性能だ
エクスエリア、インテリアのデザインや質感では“強豪”と表現していい競合機種と充分に勝負できるというのが、実物を目にした筆者の印象だ。では走りはどうか。e-Sport Sedanと言い切るだけあり、スペックは堂々としている。 バッテリー容量は82.56kWh。アットスリーとドルフィンのロングレンジが58.56kWhだから1.4倍の容量を持つ。リヤに最高出力230kW(312ps)、最大トルク360Nmのモーターを搭載するベースモデル(車重2100kg)のWLTCモード一充電走行距離は640km。フロントとリヤにモーターを搭載し、システム最高出力390kW(529ps)、システム最大トルク670Nmを発生するAWDの一充電走行距離は575kmだ。 タイヤサイズは、235/45R19 銘柄はコンチネンタルECO CONTACT 6Q ただバッテリー容量が大きいだけでなく、充電性能が高いのが特徴で、アットスリーとドルフィン・ロングレンジの充電受入最大出力が85kWなのに対し、シールは105kWだ。BYDのスタッフが150kWの急速充電器で30分間充電したところ、46.6kWh入ったそう。シールはkWhあたり6km超走るそうで(車両サイズや重量を考えると優秀だ)、単純に計算すれば30分の充電で約280km走行できるエネルギーを充電できることになる(条件によって上下する)。BEVは長距離ドライブに不向きだと思っていたが、シールは既成概念を覆してくれそうだ。 シールはBEVの車両価格についても既成概念を崩しにかかっている。ベースモデルは528万円、AWDは605万円である。申請中のCEV補助金がアットスリーやドルフィンと同じ35万円で決まると、実質価格はそれぞれ493万円、570万円となる。さらに、1000台限定で導入記念キャンペーン特別価格を設定しており、ベースモデルは495万円、AWDは752万円だ。35万円のCEV補助金(予定)適用後は、実質価格がそれぞれ460万円、537万円になる。 大型ガラスルーフ 紫外線99%カット 可視光線透過率は4.2% Qiを標準装備 2台同時に充電できる。 大バーゲンというほかない。採算度外視に違いないが、BYDには深謀遠慮がある。クルマに対して厳しい目を持つ日本のユーザーの生の声を拾い上げ、グローバルに展開するモデルの品質向上に役立てたいと考えているのだ。そのための投資だと思えば、安いものというわけ。おかげで、魅力的なクルマがお得に手に入る寸法である。ありがたいことに。 BYD SEAL AWD 全長×全幅×全高:4800mm×1875mm×1460mm ホイールベース:2920mm 車両重量:2230kg サスペンション:Fダブルウィッシュボーン式/Rマルチリンク式 リヤモーター TZ200XYC型交流同期モーター 最高出力:230kW(312ps) 最大トルク:360Nm フロントモーター YS210XYA型かご形三相誘導モーター 最高出力:160kW(217ps) 最大トルク:310Nm バッテリー リン酸鉄リチウムイオン電池 総電圧:550V 総電力量:82.56kWh WLTC交流電力量消費率:165Wh/km 一充電走行距離575km 車両価格:605万円
世良耕太