世界最古級ブランド【ブランパン】を誰よりも深く知る人物に聞いた最新フィフティ ファゾムス直径42mmの革新性
今年から加わった直径42.3mmの新しいサイズについて
「フィフティ ファゾムスがユニークなのは、誕生当時にダイビング機器の製造と販売を行っていたアクアラングなどのダイビングショップでも販売されていた点。つまり、ダイビング用の機材の一つとして扱われていたのです。その後、クオーツ時計の台頭などの要因によりフィフティ ファゾムスの製造は一時中断しますがマーク A. ハイエック社長兼CEOにより2003年に限定品として復活を遂げ、2007年にはレギュラーコレクションとなりました。以来、直径45mmを基本サイズとしてきたところへ、今年から直径42mmのモデルが加わることになったのです。このサイズを待っていた方は多かったのではないでしょうか。かくいう私も、このサイズを待ち望んでいました(笑)」
最新サイズはチタンと18Kゴールドの素材バリエーションを用意。ステンレススチールについては現時点でオンリーウオッチ用に製造されたのみとなっている。ちなみに、ブランパンがこのモデルに用いるチタンは「グレード23」と呼ばれる最高級品。ジェフリー氏が「ル・ブラッシュ便り」の中でも特性に言及しているが、よりチタンの純度を高めた素材でさらなる軽さと強さを兼ね備えた素材である。 「この直径42mmのフィフティ ファゾムス“5010”は、ひと目で好きになりました。ぜひみなさんも手に取って試してみてください」。ということで、最後は試着タイムとなってセミナーは終了。招待客とジェフリー氏は、互いにブランパンへの愛を共有しながら親交を深めていた。
取材後記
今回、ジェフリー氏は2024年版「ル・ブラッシュ便り」の取材を主な目的として来日したとのこと(次号のコンテンツにはまだ筆者が知らされていない最新作の内容も含まれているそうだが、さすがに教えてもらえなかった)。 「ル・ブラッシュ便り」では、このように時計作りの裏側だけでなく、ブランパンオーシャンコミットメントの取り組みやアール・ド・ヴィーヴル(=暮らしの芸術)といった様々なテーマが扱われており、ブランパンのハイウオッチメイキングを通じてあらゆる世界を知ることができる。そうした多くの記事を現在執筆しているのが、ジェフリー氏なのだ。 彼はアメリカ出身であるものの、30年ほど前、弁護士だった当時に欧州へ渡航する案件が続いた際にブランパンと出逢い、魅せられ、そこから熱心なファンになっていったのだという。昨年のフィフティ ファゾムス70周年イベントがフランスのカンヌで開かれた際には、最大の目玉となる特別限定モデル“Act 3”を披露するべくマーク A. ハイエック氏とともに登壇するなど、いまや研究家としてブランドにとって欠かせない人物となっている。
そんなジェフリー氏さえも待ち望んだ直径42mmのフィフティ ファゾムス“5010”モデルは、筆者もぜひ多くの人に試していただきたいと思う一本。現代的なスタイルを獲得した真のダイバーズウオッチの実力を体験していただきたい。
TEXT/Daisuke Suito (WATCHNAVI)