映画監督による性暴力の被害女性を演じる、子役出身23歳女優「SNSがない時代に生まれたかった」
性暴力やドメスティックバイオレンスなどの被害に遭い、トラウマを抱えた女性たちが暮らすシェアハウスを舞台に、女性たちの葛藤と信念、連帯を描く青春群像劇『ブルーイマジン』が公開中。 【画像】性暴力の被害女性を演じた山口まゆさん 子役の頃より活躍し、主演を務める山口まゆさん(23)に話を聞きました。 本作で山口さんは、かつて映画監督に性暴力を受けたトラウマを、誰にも話せずにきた俳優志望の女性・乃愛(のえる)を演じています。
初監督の俳優・プロデューサーの松林監督が「自分自身の手で」と
2017年、アメリカのハリウッドで映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインが告発されたことをきっかけに、「#MeToo」運動が沸き起こっていきました。 この動きは世界中で一大ムーブメントになりましたが、日本のエンターテインメント界は、まだまだそうした“声”を受け入れる体制になっているとは言い難いかもしれません。 それでも以前よりは性加害問題が取り上げられるようになってきました。 『ブルーイマジン』で初監督を務めた俳優、プロデューサーの松林麗さんも被害当事者のひとり。 「当事者からみた世界でどう訴えてゆくべきか。自分自身の手で、自分を救う事を訴えたかった」とコメントしています。 先に企画・プロデュースを手掛けた映画『蒲田前奏曲』でも、業界におけるセクハラ被害を扱いました。
“いろんな人が救われる作品”を作りたいとの思いを感じた
――センシティブな題材を扱った作品です。松林監督からは最初にどんなお話を聞かれましたか? 山口まゆさん(以下、山口):この作品のお話をいただいたときに監督の思いがたくさん込められた企画書をいただきました。 そこには作品を発信したい、届けたい思い、“いろんな人が救われる作品”を作りたいということが詰まっていました。 ――性被害に対する問題や、「#MeToo」運動については、山口さんご自身は、これまでどんな風に感じていた、もしくはこの作品で何か感じたことはありますか? 山口:正直なところ、これまで「#MeToo」運動といったことにすごく関心があったかと言われるとそうではありませんでした。 本当に知らないことばかりだったので、インターネットを使って調べたり、記事を読んだりしていきました。 もちろん作品のテーマとして「#MeToo」運動や性加害の問題もありますが、私は乃愛が自分自身とどう向き合っていくかということを考えながら演じていきました。 ――本編では、山口さん演じる乃愛が、性暴力やDV、ハラスメント被害を受けた女性たちを救済するためのシェアハウス「ブルーイマジン」に縁あって入居。 やがて自身の心の傷と向き合い始めた彼女は、「ブルーイマジン」に関わる人々との連帯を深め、勇気をふりしぼって“声をあげるための行動”を起こす決意をします。