小泉今日子さん、いい意味での「おばさん道」…「シニア」じゃなく「ビンテージ」
今、昭和のアイドルが好きな10代、20代が多いんですよね。コンサートに来た20歳ぐらいの男の子に「どうして来たの?」って聞いたら、「昭和のアイドルでキョンキョンが一番好きだから」って言ったんですよ。ユーチューブなどによって、若い人たちは「時間旅行」が簡単にできて、昭和の私と今の私を同じところに置いている。そういう新しい感覚を肯定してあげたいという思いはすごくあります。
村田 先日のコンサートで、小泉さんが、爆撃で亡くなったパレスチナ人詩人の詩を朗読されていたのが印象的でした。それと、「選挙に行こう」という活動をしたり、政治に関する発言をしたりもされます。日本はなんとなくそういう発言をするのが好ましくないみたいな空気もある中で、怖さはないのでしょうか。どうして発言をするのかも教えてください。
小泉 私たちの世代、というか、私が若かった頃は本当に豊かで、誰かに任せておけば世の中は良くなるって思っていました。それが大人になって、「今もし自分が、この世界をすてきじゃないとか、生きにくいとか思うのだとしたら、それって自分のせいじゃん」と反省した時がありまして。同じ思いを若い人たちにはしてほしくない、自分が思うことは発言しようと決めたんです。もちろん、私と反対の意見の人はいるけれど怖いとは思わなくて。いったん意見を全部並べてみて、みんなでもう1回考えよう、みたいな感じなんです。
村田 小泉さんのコンサートでは、「カーボンオフセットプロジェクト」をやっていらっしゃって。これにも感心しました。
小泉 コンサートを1回やると、1世帯が1年間で消費する量の40倍ぐらいの電力を使ってしまうそうで、消費してしまった分、木を植えたり、森を作ったり、再生エネルギーを作ったりしようというのをやっています。それからセットで使った木材も、産地に戻して、猫のトイレの砂に再生してもらうことにしています。
村田 小泉さんは保護猫を飼っていらっしゃいますよね。