トランプ暴風の中でも…半導体工場稼働の「電力網法」に背を向けた韓国国会(1)
「トランプ政権2期目を約2カ月後に控え、専門家らは「国内製造業・先端産業政策のゴールデンタイムを逃してはいけない」と口をそろえる。トランプ米次期大統領が就任すれば、自国優先主義に基づき関税障壁を築き、製造業復活政策を進める可能性が高いため、国内産業支援政策も迅速に執行されるべきということだ。 しかし国会で審議中の関連法案の処理速度は遅い。第22代国会に入って巨大野党の立法独走と尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拒否権(再議要求権)行使が繰り返されてきた「ビトクラシー」(vetocracy、拒否民主主義)の断面だ。企画財政委・産業通商資源中小ベンチャー企業委・科学技術情報放送通信委員会に上程された産業競争力強化法案の中には、与野党間の隔たりが大きくなくても政治的な状況のために処理されない法案が多い。 <1>ストップした国家電力網 代表的な事例が国家基幹電力網拡充法案だ。現在、東海岸と南・西海岸の相当数の送電線路建設は各種訴訟で遅れている。2012年6月の竣工が目標だった「北唐津-新湯井線路」は150カ月遅れの今年12月に完成される見込みであり、2019年12月と21年6月が竣工目標だった「東海岸-新加平線路」と「新唐津-北唐津線路」もそれぞれ66カ月遅れの2025年6月、26年12月に延びた。 送電線路が不足し、出力を制御したり送電を制限したりするケースが頻繁にある。電気は残っているが送る方法がないということだ。東海岸の発電量は16ギガワットだが、送電容量は11.4ギガワットにすぎない。このため7月には東海岸の石炭発電8基が稼働を全面的に中断した。 人工知能(AI)や半導体産業などには大規模な電力の供給が必須だ。このための基盤環境造成に困難が生じている。ソウルと京畿道(キョンギド)の電力自給率はそれぞれ10%、62%にすぎない半面、電力の需要は国内最高水準であり、東海岸と南・西海岸から不足量を充当している。京畿道竜仁(ヨンイン)半導体クラスターの電力需要だけでも首都圏全体の電力需要の約24%を占める。 第22代国会に入ってすぐに金成願(キム・ソンウォン)国民の力議員が代表発議したのをはじめ、現在まで計10人の与野党議員がそれぞれ国家基幹電力網拡充特別法案を代表発議した。▼国家主導で送電線路を建設し▼許認可に特例を与えるなどの内容も大同小異だ。しかし所管常任委である産業通商資源中小ベンチャー企業委の関係者は「政争による与野党の衝突でまだ常任委の審査もまともにできない状態」と伝えた。