「肉も野菜も安い」ドラッグストアが節約志向で絶好調、スーパーと真っ向勝負
■クスリのアオキは生鮮食品で勝負 「野菜も毎日安い!!」――。精肉や野菜を強調するチラシが置かれていたのは、北陸地盤のクスリのアオキHDの店舗。店頭にはスーパーさながら、多くの生鮮食品が並んでいる。 ドラッグストアへの生鮮食品の導入は難しいとされてきた。鮮度管理等のノウハウに乏しく、廃棄が大量に発生するリスクがあるからだ。実際、多くのドラッグストアは、まだ生鮮食品が充実しているとは言えない。 クスリのアオキは、この課題を買収で解決しようとしている。2021年5月期以降、地場スーパーを軸に12回のM&Aを実行。買収先の生鮮食品のノウハウを社内で共有し、各店舗で鮮度管理のレベルを向上させた。
さらに地元の市場に精通した人材も確保するなど、高品質な生鮮食品の流通網も整えた。精力的に既存店の改装を進め、2023年11月時点で総店舗数の85%で精肉と青果が販売されている。 クスリのアオキが買収をしてまで生鮮食品を強化する背景には、業界の競争激化がある。主戦場の郊外で人口減少が進み、1店舗あたりの商圏人口は縮小傾向。その中でも出店は続き、店舗の採算性低下に悩まされている。 クスリのアオキも、以前はコスモス薬品など競合に客を奪われ、厳しい状況に追い込まれていた。打開策として選んだのが集客力の高い生鮮食品の導入だったわけだ。
その戦略が奏功し、2024年5月期第3四半期(2023年6月~2024年2月)の売上高は前期比15.8%増の3267億円と好調だった。 営業利益も一時的な株式報酬費用(64億円)を除くと、実質的には同56.2%増の198億円と高い伸びだった。生鮮食品の取り扱いによる粗利率の低下が懸念されたが、収益性も守られた。 「3年前の業績悪化から立て直すため、思い切って生鮮食品を導入した。競争力は戻りつつあり、この方向で間違っていなかった」。好調な決算を受けて、青木宏憲社長も自信を見せた。