「カレーは人類学だ!」4000軒以上を食べ歩いた男が唸る、長野県・松本市の激ウマ4皿
チキンカレーにはクミンを用いずアジョワンを、一方でジャガイモカレーにはしっかりクミンを効かせる……というように、食材に最適なスパイスを絞り込んでいるのです。 これはやはり、印度山が家庭料理の店だから。最小限の手間で作ることができて、胃に重たくなく、素直に美味しい料理です。 オーナーシェフのアシシュ・シルプカーさんがお母さんから習ったというレシピは、日常のしみじみとした食の幸せに溢れています。
焼きたてのチャパティがまた凄まじく美味しい! 10枚もおかわりした人がいるそうですが、納得です。 DOON食堂 印度山 住所:長野県松本市大手4-6-18 はしご横丁 営業:11:30~ ※売り切れ次第閉店、日曜定休
④ 知られざる“創業の味”を紐解く旅へ「キッチン南海 松本店」
神保町の老舗洋食店「キッチン南海」。1966年の創業以来、30店舗以上に暖簾分けしていて、松本店もそのひとつ。 ……なのですが、ここのカレーはどうも様子が違います。 神保町の「キッチン南海」といえば黒いルーのカツカレーなのに、松本店の自家製ルーは茶色!
店主の南山 登さんに話を伺うと「本店も昔は茶色かったんだよ。20年以上前(※おそらく1980年台後半)、黒いカレーが流行ってから黒くなった」とのこと。 南山さんは1975年の松本店オープンに先立ち、神保町店と下北沢店で修行を積みました 「今でも神保町の創業者から直々に教わった作り方そのまま。だからうちのルーは茶色いの」(南山さん)。
S&Bの赤缶を用い、鍋で40分じっくり練り込んで焦がす……香ばしくほんのり苦いこの味こそ、キッチン南海のオリジンだったのです。 創業者がお亡くなりになった現在、オリジナルのレシピを今に受け継ぐ松本店。 文化遺産ともいうべき茶色いカツカレーを味わうだけでも松本に来る価値は大いにあるはずです。 どれだけ時代が移り変わろうと、揺るがずに味を守り抜く。それは覚悟というよりも、松本という土地が自然に導いたことのように感じます。 東京のように、新店舗ができては潰れ、目まぐるしく入れ替わる競争社会とはまったく違う。ゆったりとしたときが流れ、当たり前のように文化が継承されている松本だからこそ、再びキッチン南海の始まりの味にめぐり逢えるのです。 キッチン南海 松本店 住所:長野県松本市中央4-7-20 営業:11:30~19:00、火曜定休