【欧州で先行試乗】たゆまぬ進化がもたらす未来への予感 マクラーレン アルトゥーラ・スパイダー
マクラーレンの鍵を握る1台
photo:McLaren Automotive アルトゥーラはマクラーレンの向こう10年を占う、彼らにとってすこぶる重要なクルマだ。開発には4年以上が費やされ、全てのコンポーネンツは完全に書き換えられた。 【写真】マクラーレン最新のオープンモデル アルトゥーラ・スパイダーのすべてのフォトギャラリーをみる (62枚) 以前の世代であればスポーツ/スーパー/アルティメイトという3つのステージでモデル群をセグメンテーションしていた。が、アルトゥーラはパフォーマンス的にスポーツとスーパーの間、限りなく750S寄りのところにある。 更に現在はラグジュアリー的な位置づけのGTSもパフォーマンスが上振れしており、3つのモデル群の距離感が近接化しながらも、アルトゥーラはその中軸たるところとしても期待されているわけだ。 そんなアルトゥーラに新たに追加されたのがスパイダー、つまりオープンモデルだ。 サーキットでコンマ1秒を競うマクラーレンはルーフの開閉スピードにも拘っているのか、ボタンひとつで操作が完了するルーフパネル開閉の所要時間は11秒と750Sスパイダーと同じ、そしてメタルトップものとしては最速級となる。しかもそれは50km/h以内であれば走行中でも操作することが可能だ。 屋根が開く……というだけではない美点もアルトゥーラ・スパイダーには込められている。それはビジビリティ、つまり視界だ。 バットレス形状となるクオーターピラーをわざわざスケルトン構造としてまで、斜め後方のビジビリティを確保した。 これは開放感というよりも、視覚情報を可能な限り豊富にすることがドライビングへの自信につながるという、なんとあらばマクラーレンのプロダクトの最大のこだわりと言ってもいいかもしれない。 と、そういうディテールを外側から眺めていてしみじみ伝わってくるのは、車格のコンパクトさだ。 モデルチェンジを重ねるたびにサイズが大きくなるのは世の常だが、アルトゥーラ・スパイダーは見た目的な圧からして控えめだ。実寸をみれば前任的位置づけの540C/570Sとほぼ変わらない。 見る者を驚かせるアピアランスのためのデザインではないことが伝わってくると共に、内包するメカニズムがいかに小さく纏められているかがうかがい知れる。 そう、アルトゥーラはPHEVという別の顔も持っているクルマなわけだ。