10月20日、激戦州ペンシルベニアのマクドナルド店舗でポテトを揚げる「パフォーマンス」を見せたトランプ。ハリスが学生時代にマクドナルドでバイトしていたというエピソードになぜか対抗心を燃やし、自分も「庶民派」であるとアピールしたかったようだ　Photo b…

米大統領選まで2週間を切った10月23日、「天才データアナリスト」として知られる統計学者のネイト・シルバーが米紙「ニューヨーク・タイムズ」に直前予想を寄稿した。 【画像】天才統計学者ネイト・シルバー「私の直感ではドナルド・トランプ勝利」 世論調査では、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領と共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が７つの激戦州すべてで１～２ポイント差の大接戦を繰り広げている。 そんななか、シルバーいわく「唯一の責任ある予測は50対50の確率」で、どちらに転ぶかわからないというものだ。それでもあえて選ぶなら、「私の直感はドナルド・トランプと言っている」。 とはいえ、「私の直感も含めて誰の直感にも価値を置くべきではない」とシルバーは念を押す。 「それよりも50対50の予測は本当に50対50を意味しているという事実を受け入れるべきだ。同時に、その予測が間違っている可能性にも目を向けるべきであり、それはトランプとハリスのどちらにも等しく当てはまる」 つまり、現段階で五分五分だという予測は素直に受け入れるべきだが、その予測のもとになっている世論調査に誤差が生じている可能性は否めない。その誤差はトランプとハリス双方に有利または不利に働き得るというのだ。

「隠れトランプ支持者」の影響は？

シルバーはまず、トランプの支持率が世論調査では実際よりも低く見積もられている可能性をいくつか挙げる。 ひとつは、トランプ支持を公言することを「恥じている」人たちが見落とされている可能性だ。何かと物議を醸し、スキャンダルまみれのトランプに投票すると公に認めるのは社会的汚名だと考える「隠れトランプ支持者」だ。 だがシルバーによれば、この層がそれなりの割合を占めていた2016年や2020年と違い、今回の選挙ではそうしたスティグマは薄れ、むしろトランプ支持を誇りに思っている人が多い。

「女性大統領だけは嫌だ」

それより今回見落とされている可能性が高いとシルバーが指摘するのは、世論調査を嫌うトランプ支持者だ。 ベテランの電話世論調査員でも回答率は1桁台にとどまる。つまり、党派に関係なく、ほとんどの人は世論調査に協力してくれない。なかでもトランプ支持者は市民活動への参加や社会への信頼度が低い傾向にあるため、ニューヨーク・タイムズやCNN、大学などがおこなう世論調査を敬遠し、結果として数字に反映されないことがあるという。