【NBAカップ準決勝】ともにディフェンス力が武器ながら『ボールを奪う』サンダーと『余計な失点をしない』ロケッツが激突
ともに得意ではない3ポイントシュートが勝負のカギ?
今から3シーズン前、西カンファレンスの順位表は14位にサンダー、15位にロケッツがいました。平均トリプル・ダブルを達成したラッセル・ウエストブルックと、シーズン平均36得点を記録したジェームズ・ハーデンという偉大なるエースの時代が終わって、再建期を迎えた両チームですが、それからわずか3年でNBAカップの準決勝で顔を合わせます。 ディフェンスレーティングを見るとサンダーが103.4でリーグトップ、ロケッツが105.1で2位と両チームともディフェンス力で勝ち上がってきました。ただし、ディフェンスの特徴は大きく異なり、サンダーがスティールでリーグトップと『ボールを奪う』ことに長けているのに対し、ロケッツはリバウンドがリーグトップで『余計な失点をしない』ことに長けています。 サンダーのアグレッシブなディフェンスは、相手エースにダブルチームを仕掛けて自由を奪い取ります。そこからパスで展開されても素早いローテーションでプレッシャーをかけるだけでなく、緩いパスはすべて奪い取る機動力が強み。ビッグマン不在の試合が多いにもかかわらずペイント内得点はリーグ最少と、高さの戦いに持ち込ませない特徴も持ち合わせています。 準々決勝のマーベリックス戦では前半にルカ・ドンチッチを2得点に抑えたものの、マブスのパスがサンダーのローテーションよりも早く、3ポイントシュートを決められて苦しみましたが、第3クォーターになるとドンチッチが自分でアタックする回数が増えたことで逆に守りやすくなり、一気に勝負を決めました。サンダーのディフェンス相手にはチームで早いボールムーブをすることが重要です。 この点でロケッツのカギを握るのはインサイドのプレーメーカーとなるアルペラン・シェングンになります。前回の直接対決でも20得点に加えて9アシストでチームオフェンスの中心となりました。シェングンへのパスはサンダーディフェンスの狙いどころですが、シェングンにボールが収まれば、ロケッツオフェンスが機能します。 ロケッツのディフェンスはフィジカルなマンマークが特徴で、とにかく粘り強く食らいつき、相手のシュートミスを誘います。また、速攻からの失点はリーグで2番目に少なく、ルーズボールへの集中力も高く、ハードワークを欠かしません。2ビッグが基本ながらアーメン・トンプソンやタリ・イーソンといったブロック力の高いガードやウイングもいて、イージーショットだけは絶対に許さないという気概に満ちた痛快なディフェンスをしてきます。 準決勝のウォリアーズ戦ではパス1つすらも許さない気合の入ったマンマークによって、24秒バイオレーションを6回も引き出しました。ターンオーバーを誘うだけでなく、ウォリアーズ得意のトランジションを封じ込め、91-90というロースコアで勝ち切っています。それも最後はルーズボール争いを制したことでファウルを誘発しての劇的な勝利でした。ハードワークこそが攻守において重要であることを示しています。 サンダーとしては、まずはシンプルにシェイ・ギルシャス・アレクサンダーとジェイレン・ウィリアムズの2人が1on1を制することで、ロケッツのディフェンスに風穴を開けることが求められます。機動力で上回るサンダーとしては速攻での得点も重要で、ロケッツの強みに真っ向勝負して突破することで勝機が広がります。 若いチームながらディフェンス力で勝ち上がってきた両チームの対戦は、全局面で激しい戦いが繰り広げられます。その激しさを回避するためにもアウトサイドシュートも重要になりますが、3ポイントシュート成功率はサンダーが19位、ロケッツが27位とともに課題があります。一発勝負のトーナメントで先に3ポイントシュートが当たるのがどちらになるのかで、試合展開も大きく変わってきそうです。