根強い人気。テーマパーク界のレジェンド、あらかわ遊園100年への深化
待ちに待った夏休みが始まりました。 夏休み期間中は海水浴や花火大会などが人気ですが、家族旅行で遠くまで足を延ばす人たちも少なくありません。家族旅行では、山や川といった自然を体験することも人気ですが、巨大テーマパークを楽しむファミリーも多いようです。 昨今、テーマパーク界は東京ディズニーリゾートや大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンが東西の2大巨頭になっています。ほかにも、国内には長崎県佐世保市のハウステンボスや三重県志摩市の志摩スペイン村、パンダで有名な和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドなどがあり、根強い人気を博しています。 近年、テーマパークは大型化の傾向が強くなっており、高度経済成長期に開園した中小規模の遊園地は、経営不振や設備の更新ができないことを理由に軒並み閉園に追い込まれています。
東京23区唯一の区立遊園地
テーマパーク競争が熾烈を極める中、小規模ながら根強い人気を誇っているのが東京・荒川区のあらかわ遊園です。 東京23区で唯一の区立遊園地として知られるあらかわ遊園は、1922(大正11)年に開園しました。当初は民営の遊園地で、名称も「荒川遊園」でした。1950(昭和25)年に区立遊園地となり、現在に至ります。 100年近い歳月を経ても色褪せない魅力を放つ「あらかわ遊園」は、単なる子供の遊び場、遊園地ではありません。私たちの知らないところで深化を遂げていたのです。
低価格、未就学児童も楽しめる設定
今般、テーマパークは大規模化する潮流にあります。また、最新の技術を盛り込んだアトラクションが続々と導入されており、テーマパーク間の競争は激化しています。そんなテーマパーク戦国時代にあり、昔ながらの雰囲気を残しているのが東京・荒川区にある区立遊園地・あらかわ遊園です。 あらかわ遊園の入園料は、平日が大人200円、小中学生と未就学児童は無料(小中学生は土日祝日・春・夏・冬休みは100円)。観覧車や豆汽車、ファミリーコースターといったアトラクションの利用料は1回100~200円と低価格に設定されています。 こうした料金設定にくわえ、身長制限や年齢制限などを設けるアトラクションが少なく、未就学児童でも楽しめるように工夫されています。それが、あらかわ遊園の人気の理由でもあり、週末には小さな子供を連れた親子が多く来場する光景が見られます。 「あらかわ遊園は遊園地と名乗っていますが、荒川区の条例で定められている区立公園です。入場料が必要になる“遊園地”部分と、誰もが自由に無料で遊べる“公園”部分の2つのエリアで『荒川遊園』という都市公園を構成しています」と話すのは、荒川区防災都市づくり部道路公園課の担当者です。 荒川区内にある区立公園や児童公園・街区公園などは防災都市づくり部道路公園課が所管していますが、『荒川遊園』だけは遊園地部分も公園部分も子育て支援部荒川遊園課が担当しています。 荒川区子育て支援部荒川遊園課の担当者は、「週末や夏休み期間などは荒川区外からもたくさんの親子連れが来園します。そうしたことからも、あらかわ遊園は遊園地のイメージが強くあり、一般的にも遊園地だと思われています。そうした面があることからも、区はあらかわ遊園を観光資源としてPRしています。他方、あらかわ遊園は子育て支援機能も有しており、単なる遊戯施設ではありません。そうした機能面を考慮し、子育て支援部が所管しているのです」と話します。