【大学野球】名門進学校・熊本から東大に現役合格 「幕末から戦前」の日本史マニア右腕が法大打線に好投!
◆東京六大学春季フレッシュトーナメント▽第2日 法大4―2東大(4日・神宮) 東大は先発した2年生右腕・前田理玖=熊本=が4回を4安打2失点と好投し、今秋の先発デビューへ意欲を見せた。 強豪私立の出身者がズラリと並ぶ強力打線へ、果敢に立ち向かった。前田は1球1球に気持ちを込め、ストライクゾーンで勝負していった。シンカーで空振りを奪い、3回までは無失点。4回、3安打を浴びて2失点したが、四球わずか1とコントロールも際立った。今後へ希望が灯る52球だった。 「持ち味のストライク先行、テンポのよい投球を心がけ、しっかり4回までできたのは良かった。最後に点を取られてしまったのと、チームとして勝ちきることはできなかった悔しさが大きいです」 2年生になった今春、リーグ戦で神宮デビュー。全て救援で5試合に登板し、5大学の猛者と対峙した。10イニングを投げて防御率5・40。「強い相手でも、気持ち的に逃げることなくストライクゾーンに投げ込んで、流れを作る投球を意識するようになりました」。経験を力に変え、新人戦のマウンドでも躍動できた。 名門県立校・熊本では3年春までエースだったが、最後の夏は調子を崩して背番号10。「元々、野球部に入るというよりは、東大で日本史を勉強したかった。東大について調べていくうちに、東大野球部が頑張っていると知り、野球部に入りたいと思った」と言う。野球部引退後は「授業以外にも1日5時間ぐらい」勉強を重ね、文科三類に現役合格。野球部の門をたたいた。 日本史の中でも、特に興味のある時代は「幕末から戦前にあたるぐらい」。その理由に「外国からいろんな文化が急激に入ってきて、それに染まりつつも日本固有のものを維持しつつ、外国の文化も入れていこうという、文化の多様性に心ひかれる」と語る。将来の夢には「日本史にも関わりたいし、野球も好きなので、そういう方面も考えたり…定まっていないというのが大きいです」と笑った。 チーム内での愛称は「大魔神」。抑え専門というわけではないが、「ふてぶてしいからですかね」と気に入っている。「1学年上には(サブマリンの)渡辺向輝先輩、1コ下には(国学院久我山のセンバツ4強左腕)松本慎之介というスター選手がいるので、自分も含めて2年生も存在感を示していきたい」と前田。53季連続最下位からの脱出へ、赤門の大魔神が仁王立ちする。(加藤 弘士)
報知新聞社