本が読めないと悩む人へ。書評家・印南敦史さんに聞く「読書との向き合い方」
「(読みたいのに)本が読めない」。読書が大切だってわかっているのに…。 そんな葛藤を抱えている方、少なくないのでは? 「忙しくて本を読む時間がない」「スキマ時間はついスマホを手に取ってしまう」と悩んでいるなら、いまこそ新たな本との向き合い方が必要なのかもしれません。 そこで、毎年700冊以上の本を読み、 昨年『現代人のための 読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)を上梓したライフハッカーの人気連載「毎日書評」でもおなじみの作家、書評家の印南敦史さんに、読みたいのに読めない人へ送る「本の楽しみ方」を伺いました。 また、印南さんが日々たくさんの本と触れ合う中で感じている「ビジネスパーソンと読書の関係についての変化」も、興味深い気づきがありました。 お話を伺った方:印南敦史さん 作家、書評家。1962年東京都生まれ。作家、書評家。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ライフハッカー・ジャパン」で書評連載を担当するようになって以降、大量の本をすばやく読む方法を発見。年間700冊以上の読書量を誇る。「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」などのサイトでも書評を執筆するほか、「文春オンライン」にもエッセイを寄稿。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちにPHP文庫)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)など多数。最新刊は『現代人のための読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)。
「読めないと悩む人」こそ、じつは読める!
── 書籍『現代人のための 読書入門 本を読むとはどういうことか』を書こうと思った理由は? 読書に対しては、「読まなくても別にいいんだけど、読めばなにか楽しいかもしれないよ」ってくらいの気持ちでいるのがいいと思うんです。 というのも、圧倒的に読書に対して悩みを抱えている人が多くて。「読むのが遅い」「内容をすぐに忘れてしまう」なんていろいろ、難しく考えすぎているんです。僕も似たようなもんだったんですが、結局みんな同じ、むしろ悩むのが普通なんですよね。 逆にいうと「本を読む価値のある人だから」こそ、悩んじゃう。 悩める人って読める人だと思うんです。読めない人はそもそも読めないことに悩まない。もっと読みたいと思うからこそ、悩むわけで。 人によっては差はあるかもしれないけど、子どものころに読書体験から得た感覚って、大人になると忘れちゃったりするじゃないですか。たとえば、小学生のときに『かいけつゾロリ』を読んだときのワクワク感とか。 でも、そういう感情って意識の奥のほうに残っているはずだから、それを「いまこそ呼び起こそうよ」といいたかったんです。 新鮮な感覚に立ち戻ってみれば、「あのころは純粋に本と向き合っていたよなー」みたいにいろいろな記憶が蘇ってくるかもしれないから。そうすることですべてが解決するわけではないけれど、忘れかけていた大切なことを思い出すのって、決して無駄ではなくて、これからの読書をよりよくするためのヒントになると思うんです。