「市民が我慢するか、自治体が我慢するか」事業廃止の恐れ 『103万円の壁』引き上げに向け協議【福岡発】
「水害で何十億もの被害が毎年」
原口市長が特に力を入れているのが大雨に対応する「治水対策」。久留米市は毎年のように豪雨による大規模な浸水や土砂災害の被害を受けていることから、治水対策に3年間で140億円の予算を計上。そのため、さまざまな事業を見直し、2024年度は市の基金から10億円を切り崩して事業費を捻出したという。 原口市長は「水害で何億も何十億も被害が、これが毎年ですよ。しょうがないじゃないですかっていうわけにはいかない。どれを待ってもらうか、どれを縮小するか、どれを削るかという、今すごい苦しい段階で今、査定をやっているのに、そのなかで改めて数十億とかいうお金は…、これは無理ですよ」と頭を抱える。
地方から噴出する強い懸念の声
2025年度の予算編成に向け調整が続くこの時期、年間50億円の減収となれば地域コミュニティの維持や施設管理、子育て支援など行政サービスの一部は削ることになるおそれもあるというのだ。市長は『103万円の壁』の見直しについて一定の理解を示しつつも、国に対し自治体への丁寧な説明に加え、長期的な目線で議論を進めてほしいとしている。 「医療と福祉とか教育とか、市民から『もっとお願いできないか』というものはたくさんある。財政を切り崩して、基金まで切り崩してやっとこの状況ですから…。形を変えるにしても我々の税収、税金関係は減らないようにしてほしい」 将来的に人口減少が避けられないなか、地方から噴出する強い懸念の声と政党間での激しい駆け引き。納得できる答えは出せるのか。論戦が本格化する臨時国会は11月28日に召集される。 (テレビ西日本)
テレビ西日本
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