「女に学歴はいらない」「女子は地元で」の呪縛…二重の壁を乗り越え、東大進学した地方女子の挑戦
◆地方女子が首都圏の難関大学へ進学することを阻む2つの壁
地方から東京へ、転入する若い女性が増えている。やりがいのある仕事や、より高い賃金を求め、就職を機に上京する人が多いようだ(※1)。 【調査結果】親から難関大進学の期待度が低い地方女子。地方男子と顕著な差…。 一方、教育についてはどうだろう。地方に住む女子学生が首都圏の大学へ進学することには、いまだに「地域」「ジェンダー」という二重の壁が存在するのではないか。 教育分野のジェンダーギャップ解消に取り組む東京大学の学生団体「#YourChoiceProject」の調査によると、地方在住の女子学生は、偏差値の高い大学へ進学することを「有利だ」と感じにくい傾向があるという。首都圏の男女、地方男子との回答に顕著な差が見られ、性別による理由で難関大学へ行くことにメリットを感じていないことが考えられる。 地方に住む女子学生やその親たちは進学に際して何を思い、どんな選択をしているのだろうか。
◆偏差値よりも「家から通えるかどうか」で大学を選ぶ地方女子
関西出身の美咲さん(仮名)が最初に「東大進学」を意識したのは、中高一貫校に通っていた中学3年生のとき。難関大学への受験指導で知られる学習塾の「東大模試」を受けたことがきっかけだった。「思っていたよりも高い判定結果が出て、『もしかしたら、私でも東大に行けるかも』と思ったんです」と振り返る。 美咲さんが通っていたのは、関西にある毎年1~2人が東大に合格する進学校。担任の先生に模試の結果を見せたところ、「このままがんばったら東大に行けるよ」と背中を押され、もともと負けず嫌いの性格で、一番を目指したいという思いもあり受験を決めたという。 一方、美咲さんの周りでは、学校の成績にかかわらず、最初から関西の大学を目指す女子学生が多かった。「例えば、偏差値上ではどちらも狙えるとしても、東大ではなく京大を目指す、東京外語大ではなく阪大の外国語学部を目指すとか。理由を聞いてみると、『家から通いたい』という子が多かったですね」(美咲さん) ちなみに#YourChoiceProjectの調査では、地方の女子学生は、首都圏の女子学生と同等の学力を持っていても、「努力すれば東大に合格できる」と感じる人の割合が低く自信がないことが分かっている。