アメリカZ世代が選ぶ「Coolなブランドの条件」は“ダイバーシティ”「あらゆる人に向けているということがカッコいい」
◆多様性を“トレンド感覚”で取り入れる企業もある?
Z世代が選ぶCoolなブランド・ランキング3位のFenty(フェンティ)は前回にも触れましたが、こちらはスーパースターのリアーナが立ち上げたブランドです。2017年の発売当初話題になったのが、50色のファンデーション。それまで多くても10色ほどしかなかったファンデーションの常識を覆して注目を集めました。 Fentyは「あらゆる肌の色の人が美しい」というダイバーシティ&インクルーシブのメッセージを打ち出していることで、絶大な支持を得ています。ダイバーシティ溢れるブランドが増えるのは望ましいことですが、アプローチのやり方を誤ると、かえって若者の非難を受けることになります。 ミクア:立ち上がったばかりのブランドにすごく多様性があって、製品を見てもそのことが伝われば「このブランドは本当にダイバーシティを気にかけている。すべてをしっかり考えている」と感じられる。マーケティングがよく考えられていて、偽物っぽくない場合はCoolだと思う。 だけど、かなり前からあったブランドで、最近になってようやく多様性を重視し始めたところもあるよね。他の新しいブランドが多様性を取り入れて成功しているのを見て、古いブランドもそれに乗っかろうとしている。そういうブランドはCoolって思えない。彼らは単に現在の“トレンド”に合わせているだけだから。 たとえば前からあるブランド、Laura Mercier(ローラ メルシエ)とかArte(アルテ)、L'Oreal(ロレアル)とかは長いあいだメイクアップブランドとしてやっているけど、以前はそれほどインクルーシブな製品を作っていなかったよね? ファンデーションも幅広いファンデーションの色展開はなかった。一方、リアーナはFentyを立ち上げ、最初から多様なファンデーションの色展開をしてきたよね。 そうしたら、今になってLaura Mercierが「私たちも幅広い色展開をします。インクルーシブになります」と言うのは、まるで小さなブランドの輝きを奪おうとしているようにも見える。わかるかな? メアリー:とはいえ、今はどんなブランドも、新しいメイク製品をリリースする際に、ファンデーションの色を多く展開しないと批判を受けてしまうんだよね。また、最初からそうじゃなかった場合、あとから多様性を追加するのも、なんだか“偽善的”に感じられてしまう。 今の時代、メイクブランドでファンデーションのバリエーションが多くないと批判の対象にされてしまいます。しかしながら、ダイバーシティに取り組んでいなかった巨大ブランドが急に真似をするのはなんだかモヤモヤする、というのがラボメンバーの意見でした。 商品や広告にダイバーシティを積極的に推し進めているブランドの多くは、女性やピープル・オブ・カラーなどマイノリティ自身が始めた中小規模のブランドです。シェリーは「大手が真似してスポットライトやシェアを奪っているといった批判があります。それでも、ダイバーシティ溢れる商品やマーケティングが広がったほうがいいという考え方が、今の時代の流れなんですよね」とコメントし、話題を締めくくりました。 (interfm「NY Future Lab」2024年5月29日(水)放送より)