【堀井美香さんインタビュー】40代を振り返って…当時の積み重ねが、今の自分の核に
40代は“種まき”の期間。目標を決めすぎずに継続を
50歳で退社を決めたときは、ほとんど悩まなかったのだそう。 「あるときふと『1回会社を出てみようかな』と思い、1~2日ですぐに決意しました。いろいろときっかけはあったと思うのですが、親しくしている先輩方が50歳ぐらいで好きなことを始める様子を見たり、子どもたちが大人になって家を出て自立したり……40代を駆け抜けて、会社員生活をやりきった感覚もあったのかもしれません。 不安は全然なくて、50歳を過ぎてドラッグストアで働き始めたママ友や、実は配送のアルバイトをしている仕事仲間なども知っていたので、私ももしアナウンサーとしての仕事がなくなっても、アルバイトをしても楽しそうだなと。当時、変わろうとする覚悟がすごくあって、新しいことを細々とやっていくことも、ネガティブにならず自然に想像できていましたね」 40代で積み重ねたことが、充実した今につながっているとも。 「夢中で動く中でもらった縁や人とのかかわり、コツコツ続けていたことがきちんと“私を作る層”になってくれたんだなと。朗読もですが、目標を決めずにまずは続けることで、何事もスモールスタートをして方向転換していけばいい、というやり方を身につけた気がします。40代になって焦るという声も聞きますが、何かをするのに40代で遅いなんてことは全然なくて、大体のことは花開くまでに5年、10年と時間がかかりますから。“種まき”の期間だと思って、先を考えすぎずに、今できることを継続してみると、50~60代での生活がより楽しいものになるんじゃないかなと。 私も、最近になってピアノを習い始めたんです。子どもの頃、ピアニストになりたくてずっと憧れがあり、子育てが終わったときに、またやりたいと思ったのがピアノで。1年かけて覚えた曲をすぐに忘れてしまう悲しさはあるのですが(笑)、おばあちゃんになった頃に何かしら好きな曲が弾けていたらいいなと、かなり長い目で見てやっています」
先輩はこう振り返る!
・40代で続けていた朗読が今では自分の強みに ・変わろうとする覚悟を持つと前向きな想像ができる ・花開くまでには時間がかかる。40代で先につながる“種まき”を Staff Credit 撮影/田上浩一 取材・原文/野々山 幸(TAPE) こちらは2024年LEE5月号(4/6発売)「揺れる40代、小さくて大きな“種まき”ストーリー」に掲載の記事です。