2024年1-10月の「人手不足」倒産244件 人材流動化のしわ寄せ、年間300件も視野に
2024年(1-10月)の「人手不足」関連倒産
人手不足を一因とした倒産が止まらない。2024年1-10月の「人手不足」関連倒産は244件(前年同期比90.6%増)で、前年同期の1.9倍に達した。7月に年間最多だった2023年の年間158件を上回ったが、現在のペースで推移すると2024年は過去最多の300件に迫る可能性も出てきた。 内訳は、「求人難」が101件(前年同期比110.4%増)で、1-10月で2013年以降で初の100件超え。このほか、人件費上昇が負担になった「人件費高騰」が82件(同70.8%増)、「従業員退職」が61件(同90.6%増)と、いずれも増加した。雇用の流動化が進むが、人材確保に苦慮する企業の多さを映している。 産業別では、サービス業他が73件(同73.8%増)で最多。以下、建設業66件(同164.0%増)、運輸業53件(同60.6%増)の順。 形態別は、破産が225件(同85.9%増)で、全体の9割(構成比92.2%)を超えた。資本金別は、1千万円未満が154件(前年同期比102.6%増、構成比63.1%)と小・零細企業は2倍増となった。 連合は賃上げの流れを定着させるため、来年の春闘で定期昇給分を含めて5%以上の賃上げを要求する方針を固めた。だが、コロナ禍を経て業績回復の遅れた中小企業は、物価高や人件費上昇などが経営の重荷になっている。さらに、金利の上昇局面を迎え、収益確保が一段と難しくなっている。生産性向上のアドバルーンが画餅に帰さないよう地道な経営者の意識改革に加え、現実的な取り組み支援を急がないと、大手と中小企業の格差は拡大する一方だろう。 ※本調査は、2024年(1-10月)の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「人手不足」関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)を抽出し、分析した。(注・後継者難は対象から除く)