坂本花織はタンゴで表現を磨く「一番直さないといけないのは...」 千葉百音、島田麻央も新曲で躍動
6月28日~30日にKOSE新横浜スケートセンターで開催された『ドリーム・オン・アイス2024』。 【新着フォト】坂本花織、鍵山優真、チャ・ジュンファン、イリア・マリニン...「ドリーム・オン・アイス2024」フォトギャラリー 今回は、照明を全点灯し、6分間練習もある試合形式で行なわれた。他のアイスショーと差別化を図るとともに、2004年初開催時の主旨でもあった「演技披露の機会をつくることで、選手の強化・育成の手助けになれば」という意図をより鮮明にした変更だった。 【激しいタンゴで魅せた坂本花織】 昨季、世界選手権3連覇を果たした坂本花織(24歳/シスメックス)は、競技用プログラムでは初のタンゴを使用したショートプログラム(SP)の『Resurrection del Angel / La muerte del Angel』を披露した。 「(プログラムの)前半のしっとり表現する部分は、昨シーズンのプログラムで得た経験を活かし、テンポが速くなる後半は自分らしい力強さを出そうと思いました。 今回はリンクがちょっと小さかったけれど、試合の大きさになればスピード感も活かしたプログラムになっていると思うので、そこを見てほしい。 やることが特に難しいというわけではないですが、タンゴは競技では初めてなので、(2026年の)五輪までの挑戦の一部かなと思うので楽しいです」 こう話した坂本。公演2日目(6月29日)の演技では、ヘビーでスローな曲調のなか、大きな動きで余韻を持たせるように滑り出し、イーグルからそのままダブルアクセルをしっかり決め、そのあとは3回転ルッツを跳んだ。 そして、フライングキャメルスピンとコンビネーションスピンのあとは、ステップとも思わせるようなつなぎの滑りをすると、3回転フリップからの連続ジャンプ。ステップシークエンスも重量感があり、キレのいい激しい踊りを見せ、最後はレイバックスピンで締めた。
【指先からエネルギーが出るような表現】 今回の坂本の滑りで思い出したのは、1週間前まで開催されていた『ファンタジー・オン・アイス』で見せていた、新エキシビションプログラムの『Poison』だった。 イギリス出身のシンガーソングライター、フレイヤ・ライディングスの気だるい雰囲気のボーカル。その曲の雰囲気をそのまま表現するような、全身を使う振り付けと大きな滑り。醸し出す雰囲気と迫力さえ感じさせる心象風景の描写。これまでエキシビションナンバーといえば元気さを前面に出していた坂本花織だが、新たな一面を見せたとも言える、ひと皮むけた演技だと感じられた。 そして新SPも、それと同じような雰囲気を感じさせるプログラムだった。 「今までのエキシビションでやってきたのはタンゴとはいえど、"それ風"のタンゴみたいな感じでした。でも、このショートに関しては指先だったり視線だったり、顔の使い方などの細かい表現の仕方を重点的に振り付けてもらったので、今までのタンゴとはひと味違うのではないかなと思います。 今年のショートではより表現に力を入れていきたいなと思っていて。私にはよくあることだけど、ジャンプに集中してしまうと他の振り付けをちょっと忘れてしまったりする。 そのなかでも本当に一番直さないといけないと思うのは、大まかな振り付けのところ。細かな振りが続いているところの手は動いているけど、『手を前に出して』などの大まかなところでは手が死んでしまう。 だから今年は、2分50秒間ずっと、指先からエネルギーが出るような表現ができたらいいなと思っています。ただただ動いているだけではなくて、細かいところに気をつけてやっていきたいです」