花田紀凱が語る「ヘイト批判への反論」爆売れ保守系雑誌『WiLL』『Hanada』生みの親…WiLLとHanadaの違い
陰謀論は「勘」で避ける
――論壇誌じゃないにしても、存在感が出ることで増してくる「責任」みたいなものはありますよね。読んだ人がネットに書き込んで拡散したりだとか、不確かな情報でも「雑誌に載っているから」と信じてしまったりとか。陰謀論だとわかりやすいですが。 花田 ぼくは陰謀論には加担しない。それは「なんとなく、勘で」避けているんだけれど。自分の感覚的なところで言えば、ギリギリ避けている。今の(分裂後の)『WiLL』はもう陰謀論に行っちゃったでしょう。売れるのかもしれないけれど、あれじゃあねえ。自分がつくった雑誌があんなことになって、とても残念です。 ――排外主義的なネトウヨとの相関性もよく指摘されるんですが、少なくとも「在特会」を肯定的に論じたことはほとんどないですよね。ワックが出していた『歴史通』には在特会の桜井誠氏(当時)が登場したことがありますが。 花田 分裂後の『WiLL』と『Hanada』は執筆者が重なっているところもあるけれど、違いは大きい。『Hanada』では絶対頼まない執筆者もいる。そこに何らかの基準はあるんだけれど、まあ経験によって培われた「勘」だな。 ――花田さんは、「あれっ」と思ったことをよく編集部員や周囲の人に「これ、どう思う?」と聞きますが、ネットは見ないですね。 花田 そう。ほとんど見ない。動画番組に出てはいる(月刊Hanadaチャンネル、言論テレビ、週刊誌欠席裁判と週3回出演)し、「Hanadaプラス」というウェブメディアもやってるけれどね。 まずネットで情報を得るにはすごく時間がかかるでしょう。何かをフォローしようと思っても、有象無象の情報やノイズが入ってくるから。編集部員がネットを見てあれが話題だ、これが騒ぎになってる、こういう記事が面白かった、というのは聞きますけどね。ネットでの発信も雑誌の宣伝になる部分もあるし、若い編集部員が一生懸命やっているから、それは認めますよ。自分では時間がもったいないからやらないだけで。 ネットを見るくらいだったら、本を読んだ方がいいし。映画も見たいし、歌舞伎も見たい。連載原稿も書かなきゃいけないし、時間がないんだよ(笑)。 ――雑誌の傾向とは全く関係ない本をたくさん読んでますもんね。しかも国内外の文学作品。 花田 サマセット・モーム、チャールズ・ディケンズとか、パトリシア・ハイスミス、スティーブン・キング、谷崎潤一郎、永井荷風は大好きだから。「一年一作家」と称して、一年かけて一人の作家の作品を続けて読み通しているんだけれど、今年は芥川龍之介なんだよ。これは8月に終わったんで、今は『大菩薩峠』を読んでる。 睡眠時間こそ、最近は6時間に増やしたけれど(以前は4時間)。やりたいことは多いし、7匹いる猫の世話はしなきゃいけないし、新聞は5紙取ってるし、ぼーっとしている時間、ネットサーフィンをしている時間なんてないんだよ。
梶原麻衣子