小田急ロマンスカーの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
やばいポイント3「地下鉄にも乗り入れる便利さ」
2008(平成20)年3月15日、小田急は60000形電車MSEをデビューさせた。2022年3月11日に惜しまれつつ定期運行を終えたVSE50000形のデザインを受け継いだMSEは、地下鉄を直通する日本初の座席指定特急として登場した。 東京メトロ千代田線に乗り入れを果たした。デザインは岡部憲明氏による。MSEはロマンスカーの新たなルートと利用スタイルを切り開き、定番の「新宿~箱根」ルートに加え、 ・東京北部から都心を経由して箱根に向かうレジャールート ・大手町方面と本厚木を結ぶビジネスルート も成功させた。実際、筆者も都心で用事があるときは、スケジュールが許せば必ず利用している。地下鉄に有料の座席指定特急が走るのは初めてのことだが、これは私鉄が都心に乗り入れするメリットとして欠かせないものであり、期待はされていたが実現されていなかったハードルを、一気に乗り越えることとなった。 MSEはJR東海の御殿場線にも乗り入れ、新宿と御殿場を結んでおり、 ・Multi(マルチ) ・Super(スーパー) ・Express(エクスプレス) の頭文字をとったものである。小田急線だけでなく、地下鉄やJRの路線のあちらこちらを走る“マルチな活躍”がステキである。そういう他社にはない運行の魅力がたまらないのだ。
やばいポイント4「展望席」
そして、何といってもロマンスカーといえば展望席である。1963(昭和38)年にデビューしたNSE3100形から、LSE7000形、HiSE10000形、VSE50000形と、 「連接構造と展望席があってこそロマンスカー」 と呼ばれてきた。現在のGSE70000形は連接構造でなく残念だが、4列16席の展望席は常にプラチナチケットである。展望席からは、 ・新宿都心部の風景 ・東京や神奈川の住宅地の移り変わる風景 ・湘南エリアの自然 ・富士山 ・箱根の風景 などを心ゆくまで楽しむことができる。ほかのロマンスカーや通勤車両とすれ違うのも楽しみのひとつだ。 展望席に座ると、カメラを向けるファンや乗客が多いことに気づく。憧れの存在であり、注目されていることの証しだ。車掌が子どもたちにロマンスカーの説明をしたり、ロマンスカーのカードをプレゼントしたりするほほえましい光景も見かける。こうした光景を目にすると、展望車・展望席が乗客にとって特別な存在であるだけでなく、運転士や車掌にとっても特別な存在なのだと実感する。いわば、小田急電鉄の誇りなのだと感じる。 筆者の周りには、GSE70000形の次は「展望席+連接車」を待ち望んでいる人がたくさんいる。ロマンスカーの伝統を感じさせる新車にも改めて期待したい。