インフラ輸出、30年に45兆円 政府戦略、脱炭素化に対応
政府は24日、2030年の海外でのインフラ受注額を45兆円とする目標を掲げた新たな輸出戦略をまとめた。 首相官邸で同日開いた経協インフラ戦略会議(議長・林芳正官房長官)で提示した。脱炭素化など社会変革の需要に対応し、25年に34兆円としていた従来目標から上積みを目指す。 日本の海外でのインフラ受注額は22年で31兆円と、14年比で6割拡大した。ただ、戦略では「相手国のニーズを十分に取り込めていない」と課題を指摘。政府開発援助(ODA)など資金面の支援を含め、日本の強みを生かした積極的な事業提案を行うとした。 また、台頭するグローバルサウス(新興・途上国)と人材交流や対話などを通じ連携を加速するほか、経済安全保障の分野で重要物資供給網の強靱(きょうじん)化に向け公的金融による支援を強化するとした。 脱炭素化の需要を取り込むに当たっては、日本と東南アジア諸国などによる連携の枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」を活用。エネルギー移行に向けた工程表の策定支援や、水素・アンモニア技術の実証などに取り組む。海外の原発事業への日本企業の参入を支援することも明記した。 石破茂首相は会議の席上、「日本が相手国から選ばれ、海外で稼ぐためにはトップセールスが特に重要だ」と述べ、インフラの売り込みに意欲を示した。