マッシュHDが営業利益で初の100億円突破、メンズ・ライセンス・キッズが好調
マッシュホールディングスが、2024年8月期連結決算を発表した。売上高は前期比6%増の1202億円で、営業利益は非公開ではあるものの、100億円を突破したとみられる。2021年から4期連続の増収増益だったが、海外事業が想定よりも下振れたことで予算に対しては2ポイントの未達となった。
同社はグループとして、2022年8月期にメンズ事業・ライセンス事業・キッズ&ベビー事業を「3本の柱」として、それぞれのカテゴリーの中長期計画として売り上げ目標100億円を掲げ戦略を推進する。24年8月期はメンズ事業で売上高が前期比17%増の64億円(ライセンス事業に含まれる「バブアー」を除く)、ライセンス事業が同102%増の61億円と大幅伸長、キッズ&ベビー事業が同6%増の30億円で着地した。近藤広幸 社長は「3本の柱」の育成が進み、躍動を感じる1年だった」と振り返る。 具体的にはメンズ事業で、「ジェラート ピケ オム(GELATO PIQUE HOMME)」が同12%増、「アウール(AOURE)」が同44%増と好調に推移。ライセンス事業では、ウィメンズカテゴリーの好調もあり数字を伸ばした「バブアー」が業績をけん引したほか、2023年11月に池袋に店舗をオープンした「セサミストリートマーケット」がオンラインストアと合わせて売上高5億円を達成。「ミュシャ」は認知拡大に課題が残った。キッズ&ベビー事業は、「ジェラート ピケ」内のキッズ&ベビーの数字が反映されている。 カテゴリー別で見ると、ファッション事業が同8%増で着地。ライセンス事業のバブアーの伸長に加え、「ポケモン」とのコラボ商品が人気を集めた「ジェラート ピケ(gelato pique)」が前期比9%増と業績をけん引し稼ぎ頭となった。そのほか昨年ブランド単体売上高が200億を突破した「スナイデル(SNIDEL)」は横ばい、「ミラ オーウェン(Mila Owen)」(同1%減)、「セルフォード(CELFORD)」(同4%減)は前年を下回った。トップが交代したビューティ事業は同2%増と微増。楽天などECモールへ参入した「スナイデル ビューティ(SNIDEL BEAUTY)」が同57%増と大きく成長し、主力の「コスメキッチン(Cosme Kitchen)」は同1%増と横ばいだったが、今期に入り7~9月は2桁増で推移する。飲食事業は同9%増だった。 地域別では、国内が同6%増の1087億円、海外が5%増の115億円となった。期待値から下振れた海外については、メイン市場である中国が不透明な経済状況により失速。不採算店舗の集約なども影響し、ポテンシャルを感じていながらも苦しい1年だったという。 2025年8月期は、「3本の柱」を引き続き強化する。メンズ事業はジェラート ピケ オムを柱に、百貨店などでの展開を視野にさらに成長を加速させる。ライセンス事業では、初のバッグ事業として伊藤忠と協業するバッグブランド「レスポートサック(LeSportsac)」が新たにポートフォリオに加わる。キッズ&ベビーカテゴリー事業では、ジェラート ピケ内でキッズアイテムを強化する店舗を増やすほか、前期にパートナーシップ契約を結んだニュージーランド発「ジェイミーケイ(JAMIE KAY)」を加えて売上高拡大を目指す。 グループの2025年8月期売上高は1300億円を見込む。前期に伸び悩んだ海外事業の予算は、収益化の地盤が整いつつある状況を踏まえて同18%増とした。 近藤社長は「前期は事業別、ブランド別でみると、種まき後の成長の1年だったと言えるが、経営の成長として課題が見えた年でもあった。今期は組織改変など構造改革に着手する」とし、組織の成長を図っていく。