[NEW BALANCE CUP]U-16日本一世代の鹿島学園が“裏選手権”制覇。目標の3冠に本気で挑戦
[1.6 NB CUP決勝 東山高 0-1 鹿島学園高 時之栖裾野C] “裏選手権”は鹿島学園が制す! 2025年シーズンの飛躍を目指す強豪校が冬の静岡で成長と勝利を目指した「NEW BALANCE CUP 2025 IN TOKINOSUMIKA」(通称:裏選手権、静岡・時之栖スポーツセンター)は6日午後、決勝を行った。東山高(京都)と鹿島学園高(茨城)が激突。鹿島学園が交代出場FW内海心太郎(1年)の決勝点によって、1-0で勝った。なお、大会MVPは鹿島学園のCB齊藤空人主将(2年)が獲得した。 東山は予選リーグから6連勝で失点わずか1。決勝トーナメントでは飯塚高(福岡)、関西大北陽高(大阪)、そして、中央学院高(千葉)に勝利して決勝へ進出した。決勝の先発はGKが麻生太朗(1年)、右SB尾根碧斗(2年)、CB上山泰智(2年)、CB深木陸人(2年)、左SB中野冬翔(2年)、ダブルボランチは善積甲知(2年)と雪本迅之助(2年)、右SH田中惺七(2年)、左SH中井真栄(2年)、そして太田颯翔(2年)と林亮大朗(2年)が2トップを組んだ。 一方の鹿島学園も予選リーグから6連勝。決勝トーナメントでは日本文理高(新潟)を7-0、立正大淞南高(島根)を4-0で下し、準決勝では日大藤沢高に先制されながらも追いつき、PK戦の末に勝利した。決勝の先発はGKが年代別タイ代表候補のプムラピースリブンヤコ(1年)で右SB秋山龍詠(2年)、CB内野竜太郎(2年)、CB齊藤、左SB清水朔玖(2年)、中盤は西川大翔(2年)と木下永愛(2年、U-16日本代表)のダブルボランチで右SH大川寛翔(1年)、左SH伊藤蒼空(2年)、前線は堀樹矢(2年)と栗原哉太(2年)がコンビを組んだ。 開始直後、鹿島学園は清水の左クロスのこぼれを堀が右足でシュート。これをブロックした東山は中井のミドルシュートや尾根のヘディングシュートで攻め返す。互いに切り替えが速く、強度も高い攻防戦に。鹿島学園は14分、栗原が鋭いターンで右サイドを突破し、PAの堀へパスを通す。また、堀の力強いキープを起点に前進するシーンがあったほか、大川や伊藤のドリブルや、木下や西川、栗原が係わっての崩しなどへ持ち込んだ。だが、「守備から」を徹底する東山は、プレスバックを欠かさず、ゴール前ではチームリーダーの上山や深木が冷静に対応する。 東山も26分、右SB尾根のドリブル突破から太田が右ハイサイドへはたき、田中がクロス。また質の高いフィードを見せるGK麻生や上山らDFラインから、相手DFラインを狙ってロングボールを入れる。これに林や太田が走り込み、善積や雪本が出足良くセカンドボールを回収。ボールをサイドへ振り、クロスを入れる。だが、鹿島学園は試合を通して空中戦で抜群の強さを発揮していたCB齊藤、CB内野が跳ね返していたほか、秋山、清水の両SBも的確なカバーリング。加えて、経験値豊富な木下や西川が献身的にボールに係わるなど、東山の迫力に飲み込まれない。 鹿島学園は齊藤が「自分が感じるのは、今年はもうほんとみんなレベルが高くて、(静岡遠征に)来てない選手も凄くいい選手もいます。だから、もう全員が出たい、出たい、出たいって思いで練習やってるんで、その強度がこういう舞台での強度にも練習から繋がってるんじゃないかなと思います」というように、トレーニングから培ってきた強度の高さを決勝戦でも披露。相手の特長とする部分でも、渡り合って見せた。 東山は後半開始から田中に代えてFW青山透吾(2年)を投入。立ち上がりから雪本や中井が積極的にシュートを撃ち込む。一方の鹿島学園は12分に4枚替え。堀、栗原、伊藤、大川をFW渡部隼翔(2年)、FW内海、MF中原瀬那(1年)、MF松本金太朗(2年)と入れ替えた。 後半半ば以降は東山がペースを握る展開に。18分には雪本の右CKから尾根が決定的なヘッドを放つ。直後にも左サイドから仕掛けた中井がカットインシュート。その後も中野が思い切り良くシュートを放ち、積極的に前線の選手に係わる雪本がシュートへ持ち込んだ。 だが、鹿島学園はGKプムラピースリブンヤコが死角からの一撃に好反応したほか、齊藤や内野がクロス、裏抜けに対応。木下は「ああいう時間帯でも失点しなかったことは大きいし、絶対いい時間だけじゃないと思ってたんで、そこは全員で声かけしてしっかり守れたかなと思います」と振り返る。 鹿島学園も松本や中原のドリブル、クロスでゴール前のシーンを作り返す。30分には齊藤の左足フィードが前線に通り、渡部がDFと競りながら右足シュート。ボールはGKの脇を抜けたが、左ポストを叩いた。 鹿島学園は直後に渡部をFWワーズィージェイヴェン勝(1年)と交代。すると32分、秋山の右CKからファーのワーズィーがヘディングシュートを放つ。これは東山GK麻生が反応して止めたが、こぼれ球を内海が右足で押し込んだ。スライディングして喜ぶ内海にサブの選手も駆け寄って大喜び。だが、東山も諦めずに反撃する。 失点直後に青山とFW岡本明己(1年)を交代。その後3バックに変更し、攻撃の人数を増やして圧力をかけた。そして、シュートまで持ち込んでいたものの、齊藤を筆頭に勝利への強い姿勢を見せる鹿島学園が1-0で勝利。参加36校の頂点に立った。 2023年のルーキリーグ日本一世代の鹿島学園が、“裏選手権”も制覇。技術力の高い選手たちが相手に外されることなくプレッシングしたり、前線の選手を追い越して駆け上がったり、粘り強く守ったりすることも表現して優勝を果たした。 鈴木雅人監督は「繋いで綺麗にっていうのはもちろん大事なんですけど、それ以上に少し逞しさとか、スピード感とか、勝負のこだわりであるとか、そういうのも織り交ぜながら、またその先(将来)のことも含めてやってくれたら」とコメント。「(今回の帯同メンバーの他にも、覚醒前で)まだ眠ってる子たちが結構いる」(鈴木監督)というチームは、経験値の高い今回の優勝メンバーとミックスしながら、2月のスペイン遠征などで育成を続けていく。 選手たちは2025年シーズンのインターハイ優勝、プリンスリーグ関東1部優勝(プレミアリーグ昇格)、選手権優勝の3冠を掲げている。鈴木監督は「そんな簡単にはいかないと思うんですけど、ただ、そうやって目指したり、そういう言葉に出したりとかして目指していこうという姿勢っていうことは決して悪いことじゃないと思う。そこに対して本当に、どれぐらい本気でチャレンジできるかっていうことは、凄い大切なことじゃないかと」。また、齊藤は「自分たちは3冠という目標があるんで、それに向かって、練習を頑張っていきたい」と語った。本気で目標に挑戦。“裏選手権”の覇者が2025年シーズンにより大きな舞台で輝く。
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