半開きの扉が〝営業〟のサイン…「アングラ探検家」が語る「酒の飲めない居酒屋」で〝売っていたもの〟
全国各地で消えゆく〝夜の街〟
1枚の「警告書」で70年続いたネオン街が消えた──。 ’21年11月1日、兵庫県尼崎市の「ちょんの間街」、かんなみ新地で営業していた約36軒の店が一斉に閉店した。同日、警察に呼び出された組合の代表が違法営業の中止を求める「警告書」を受け取ったためだ。そこにはかんなみ新地の店が飲食店でありながら、実際には女性従業員による性的サービスを提供している旨が指摘されていた。ネットではよく《摘発されて壊滅》と書かれているが、実際には摘発される前に廃業を決めたのだ。 【無残】すごい…壊滅して朽ち果てつつある「ちょんの間街」の跡 かんなみ新地は1階がカウンターのみの飲食店のつくりとなっており、夕方から午前0時までの営業時間は店の戸口に露出の高いミニスカやワンピース姿の女性が座っていた。昭和20年代半ばに非合法な風俗街である「青線」としてできた『パーク街』がその前身で大阪の飛田新地などとともに知られ、70年ほどの歴史を持つ「ちょんの間街」だった。 だが、3年前の11月1日を境にかんなみ新地にネオンが灯ることは二度となかった。「ちょんの間」はすべて廃業、違法営業の再開を防ぐために、土地は市が買収することとなった。’23年11月の時点で31軒分の買収が完了し、翌’24年1月から一部の解体工事を開始している。跡地は広場にしたり、建物を改修して期間限定の物販店などにする計画だという。 ◆一見、そういう店には見えない〝店〟が ちょっとの間に行為をするから「ちょんの間」。かつての「赤線」「青線」にあった店はすべてこれだった。1956年に売春防止法が施行されたことで「違法」ということになり、「ちょんの間」は表向き姿を消すこととなった。 現在でも残っている代表的な場所は大阪の飛田をはじめとする「五大新地」だ。かつては横浜の黄金町や川崎の堀之内、三重の渡鹿野島、沖縄の真栄原なども有名だったが、摘発などによって姿を消してしまった。それ以外にも全国各地に「ちょんの間」は存在していたが、その数は年々減っている。 「アングラ探検家」YouTuberであるパイナポー裏ch氏(以下、パイナポー氏)は、全国各地の裏風俗地帯に潜入取材しているが、その中で一見、裏風俗とは分からないような不思議な店に遭遇することがあるという。そして、その多くはかつての「赤線」「青線」の名残が細々とやっているというケースだと語る。 「以前訪れたのは四国のとある町です。ここには青線の名残だという場所があって、〝酒が飲めない居酒屋〟が数軒あるんです。酒が飲めないのに何をするのかというと、女性のサービスがあるという〝裏風俗〟です。一見するとそれらは本当に居酒屋にしか見えないのですが、不自然な点が1つ。扉が何故か半開きなんです。そして、それが売春営業のサインなんですよ。 この『扉半開き(あるいはちょい開き)スタイル』は、裏営業をしている店にたまに見られるスタイルで、川崎・南町、高知・玉水新地、豊橋・小池遊郭(’22年に壊滅)もそうです。でも全く事情を知らない人が見たら、ただの居酒屋にしか見えません」 有料版『FRIDAY GOLD』では、現在も営業している「酒が飲めない居酒屋」の詳細と、パイナポー氏による潜入ルポを掲載している。
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