円は対ドルで一時154円台に上昇、地政学リスク警戒-仲値の円買いも
(ブルームバーグ): 21日の東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=154円台後半に上昇。ウクライナとロシア情勢を巡る地政学リスクへの警戒が根強い上、公示仲値の設定に絡んだ需要も円を押し上げている。
三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、流動性が低下する中、一部資金フローの動きで円が買われていると指摘。地政学リスクが取り沙汰されてヘッドラインに敏感になりやすいが、ロシアの核使用などエスカレートする蓋然(がいぜん)性はあまりなく、リスク回避通貨への買いが一時的に入る程度だと述べた。
酒井氏は、午前10時前の仲値決済に向けて円が買われており、ややドルが余剰気味ではないかと話した。
日本銀行の植田和男総裁は21日、都内のパリ・ユーロプラス・ファイナンシャル・フォーラムで講演する。12月の金融政策決定会合の利上げに向けた地ならしの発言を行うかどうかが注目されている。植田総裁は18日、利上げのタイミングは「先行きの経済・物価・金融情勢次第」と述べていた。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、「18日の講演から急に利上げに向けたトーンが上がるとは考えにくく、同じような話になる」とみている。
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Hidenori Yamanaka