【KinKi Kids・堂本光一、単独インタビュー】『Endless SHOCK』24年の歴史に幕、現在の心境や思い出、「SHOCK」の未来を語った(1)
KinKi Kidsの堂本光一(45)が作・構成・演出・主演を務めるミュージカル『Endless SHOCK』が11月29日に東京・帝国劇場で大千秋楽を迎えた。光一は自身が持つ国内演劇における単独主演1位記録を2128回まで伸ばし、惜しまれながらもシリーズ24年の歴史に幕を下ろした。このほど本紙の単独インタビューに応じ、現在の心境や思い出、そして気になる「SHOCK」の未来などを語った。その模様を本日から3日間にわたって連載する。 2000年11月2日に「MILLENNIUM SHOCK」としてシリーズがスタート。09年3月22日に通算626回目を迎え、森繁久彌さんの「屋根の上のヴァイオリン弾き」を抜いて帝国劇場での単独主演記録を更新した。 今年5月に通算2018回公演を迎え、森光子さんの「放浪記」を抜いて国内ミュージカルにおける単独主演記録1位を更新。日本の演劇界に新たな金字塔を打ち立てたが、25年2月に帝劇が建て替え工事のために休館するのに伴い、光一は「SHOCK」の看板を下ろすことを決意した。大千秋楽からもうすぐ1カ月を迎える。 「足かけという意味では25年という間、ずっとこの作品と、役と、この劇場と一緒にいましたからね。思ったよりも晴れやかな部分もあるし、もちろんロスがないわけがなくて。いろいろ感じるのはおそらく、多分来年の2~5月あたりかな。いつも大体その辺に開けていたので『帝劇に行かないんだな』という感覚にきっとなるんじゃないかなという気はしてます」 休憩を挟んで約3時間15分のステージ。出ずっぱりで歌って踊って宙を舞い、激しい殺陣も披露して階段を転げ落ちたりする。心身ともに相当きついはずなのに、それを昼夜2公演、一分一秒たりと手を抜くことなく、そして一度も代役を立てることなく24年間走り続けてきた。 「人間なのでね。病気もありましたし、けがもありましたし、いろんな精神状態の中、ステージに立ちたくないっていう日もあった。けど幕が上がれば、そのときの公演が常にベストであるっていうのを目指していたので、その時々のその日の公演にかけるっていうのは2128回全うできたというのはありますね。もちろんその中で、いろんな失敗もあったけど、その思いだけは崩さずにやれたことは誇れることかなと」 最後の回を終え、幕が下りた瞬間はどのような心境だったのだろうか。 「意外と冷静だったんですよね。すごくつまらないコメントになってしまうけど『いつも通り』でした。でも、それがらしいのかなって自分でも思う。幕の内側で、ライブビューイング(の視聴者に)だけにカンパニーで『ありがとうございます』っていうコメントを送ってたので浸っている余裕がなかったですね」 その後、24年間で「SHOCK」に関わったキャストやスタッフ、関係者ら約300人を集めた盛大なパーティーが行われた。 「人が多すぎて全員に顔合わせという形にはならなかったですが、懐かしい皆さんもたくさん集まってくださいました。改めて、それだけの数のスタッフも含めてですけど、それだけの数の人たちがこの作品を愛してくれていたんだなというふうに感じた瞬間ではあります」 SHOCKを語る上で、福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介による4人組グループ「ふぉ~ゆ~」は欠かせない。前身ユニットの「M.A.D.」だった06年から作品に携わり、4人で活動することが増え、たまたま全員名前に「ゆう」が付くことから4人組の「ふぉ~ゆ~」が結成された。 それぞれの主演舞台などもあって、2人ずつ交互に出演することが多かったが、ラストイヤーの今年は11月の帝劇公演で12年ぶりに4人の同時出演が実現という、ファンにとってもエモい展開となった。 「彼らから『もうこの仕事をやめようかな』という相談も受けた時期もありましたし、そんな中、腐らずにむしろネガティブな部分までも、自分らの武器に変えてしまうようなキャラクターとエネルギーを持つようになったので、単純にうれしい。最後の帝劇で4人そろったときに感じたのは、ずいぶんと圧が強いなと。それは人間から発せられる、目には見えなくて感じる圧でありエネルギーでした」 CDデビューを果たしてないふぉ~ゆ~が、21年にコンサートのグッズとして、CD本体が入っていないプラスチックケースを発売した際、光一は真っ先に「CDケースデビューおめでとう」とリアクションした。それほどに愛し、愛された4人もSHOCKの屋台骨を支えた存在だった。 ◆Endless SHOCK 米ニューヨークのブロードウェーを舞台に、主人公コウイチとそのカンパニーが運命を駆け抜けながら「走り続けること」の意味を問う作品。帝国劇場の世界的スケールの舞台機構を駆使して歌、ダンス、パーカッション、殺陣、フライングなどさまざまな演出が目まぐるしく展開されるため、注目度はすさまじく「日本一チケットが取れない演劇公演」と呼ばれている。 2002年6月からは第1幕クライマックスの「ジャパネスク」のシーンで光一が22段、高さ4.84メートルの階段を転げ落ちる名シーン「階段落ち」の演出が盛り込まれており、大千秋楽までに全1923回演じた。落下した階段は4万2306段で高さに換算すると9307メートルとなり、エベレスト(8848メートル)を優に超える驚異的な数字となる。
中日スポーツ