中高年ネット民がいきなりドハマリした「mixi2」…広告ゼロで”平和すぎる”SNSの「意外な弱点」
ものすごく「平和な空間」
mixi2は最大150字(正確な字数制限は149.3文字。逆から読んだ「3.941」が「ミクシィ」の語呂合わせではないかという説がある)の短文や画像が投稿でき、従来のmixiのようなコミュニティ機能も備わっている。 実際使ってみて、高橋さんはどんな感想を抱いたのか。 「タイムラインが他のSNSと一切違うのに驚きました。まず広告が一切ない。また、Xなどは、メインのタイムラインにバズっている投稿が次々レコメンドされてきます。ですから、本当の友だちの近況はほぼわかりません。 正直、最近のSNSは広告やバズった投稿ばかりが目について、あまり見たいものではありませんでした。それが、mixi2では広告ゼロで、フォローしている方の投稿が時系列に並んでいる。ものすごく『平和』な空間ですよね」 この「平和なSNS」という印象に共感するユーザーは多いのではないか。mixi2でも「発見」というタブでタイムラインを切り替えることはできるが、そこでレコメンドされる投稿もフォローしている人の投稿や参加しているコミュニティに関連した話題が中心。突然、思わず目を背けたくなる画像が表示されるようなことはない。 「また、投稿する文章に動きをつけたり、背景にアニメを追加できる『エモテキ』は感情を伝えやすいので、今風な機能だと思います」 もっとも、「エモテキ」には否定的なユーザーもいる。仕事柄mixi2を使い始めたというIT書籍編集者は、「文字をムダに大きくしたり震わせたりと、LINEでおじさんが使う微妙な絵文字やスタンプを彷彿とさせますね。なにより目が疲れます……」とにべもない。
若者にとっては「親世代のSNS」
現在、成蹊大学客員教授として教鞭をとる高橋さんは、昨年、各SNSの使用率を生徒に聞いたという。 「前期の受講生200人超の中で、従来のmixiを実際に利用しているのはわずか1人。多くのSNSを利用している世代なのに、ほぼ使われていません。mixi2についても、後期の受講生に聞いています。16名中、認知度は4分の1程度で、登録したのは0人でした」 1人でもユーザーがいるのは驚きだが、それくらい今の若者にとってはmixiは自分たちとは関係ないもの。同様に、mixi2も「親世代のSNS」と言っても過言ではない。 「親が使うSNSをあえて子どもたちがやるかというと疑問で、若い世代の中でmixi2が普及するのは難しいかもしれませんね」 そもそも「mixi2」というネーミング自体が「おじさん、おばさんたちに訴求するための名称」だと高橋さんは指摘する。18歳未満は利用できないという年齢制限からしても、若者に人気のBeRealなどと違って、「大人のSNS」として認知を深めていきそうだ。 ならば中高年がメインで使うSNSになりうるのか? mixi2は現在、スマホアプリのみでサービスを展開しており、PCで利用することははできない。 「仕事中、スマホを頻繁にチェックはしづらいですよね。利用する場面が限定され、身近な人との交流や趣味を充実させるなど、『癒やしの空間』としての使われ方がメインになるかもしれません」(高橋さん) 当面の間は、X、Facebook、Instagramなどと併用されることだろう。とはいえ、忙しい大人が複数のSNSを使い分け続けられるかは懸念点の1つだ。