Rangchu選手のクマが世界制覇!「鉄拳8」世界大会「TEKKEN World Tour 2024」現地レポート
バンダイナムコエンターテインメントは12月8日、同社の展開する格闘ゲーム「鉄拳」シリーズ最新作「鉄拳8」では初となる世界大会「TEKKEN World Tour 2024」(以下TWT2024)の決勝トーナメント「Global Final(グローバルファイナル)」を開催した。会場はベルサール渋谷ファーストで入場は無料。「鉄拳」30周年記念ということで、大会と併設してオフラインイベント「超・鉄拳祭」も同時に開催、会場では歴代「鉄拳」シリーズが遊べるブースや、DJコーナー、物販コーナーなど、お祭りモードのイベントとなった。 【画像】会場となったのはベルサール渋谷ファーストB1F 「TWT」は「鉄拳」シリーズの世界大会として2017年より開催されてきた。これまでは前作「鉄拳7」で開催されており、「TWT2024」は「鉄拳8」発売後、初の開催となるため、使用するバージョンも最新の「鉄拳8」が採用された。グローバルファイナルについて、これまではアメリカ、オランダ、タイなどで開催されてきたが、日本での開催も今回が初の試みとなる。 「TWT2024」では、4月より世界中で開催されてきた公認大会にてランキングポイントを獲得、シーズン中に開催される100以上の大会にてポイントを獲得した世界ランク上位20名と15地域のランキング1位の15名、計35名が12月5日~8日に開催されるグローバルファイナルにて優勝を決定する仕組みとなっている。 グローバルファイナルは12月5~6日の2日間でWinnersとしてTOP16に進出した8人及びLosersとしてTOP16に駒を進められる6人を選出。12月7日には予選で惜しくも敗れた選手たちが再度決勝トーナメント進出をかけて残された2つの椅子を争う最終予選「Last Chance Qualifier」(以下LCQ)が行なわれた。 2日目までの予選の模様は配信で確認できたのだが、決勝トーナメント出場枠の中に日本人選手は1人もおらず、このまま日本人選手不在の決勝トーナメントになるかと思われたが、LCQではZETA VISION所属のKEISUKE選手がWinnersサイドから勝ち上がり、日本人唯一の決勝トーナメント進出を果たした。 本稿では12月8日開催のグローバルファイナル及び「超・鉄拳祭」の模様も含めて、現地での様子を簡単にレポートしていく。なお、試合内容などについては同社が運営する公式YouTubeチャンネル「tekkenchannel」などでアーカイブが残されており、視聴が可能となっているので、気になる試合などはチェックしてほしい。 ■ DJブースやサブステージなど、お祭りムード全開のイベント「超・鉄拳祭」 会場のベルサール渋谷ファーストに到着し、地下に向かうエスカレーターに乗って降りていくと、正面に歴代の「鉄拳」シリーズのポスターがずらりと並べられており、早くもテンションが上がる。会場のロビーには飲食の物販コーナーがあり、お弁当以外に酒類などの販売も行なわれており、お祭り感が高まる。また、「鉄拳8」で初登場した新キャラクター、麗奈の座る椅子が展示されており、横に常駐するスタッフさんがお客さんのカメラやスマートフォンで撮影してくれるサービスも行なわれていた。会場入口付近には「鉄拳8」関連のグッズ類が展示されているショーケースもあった。 入口から入ると物販コーナーがあるほか、歴代「鉄拳」シリーズの全てが遊べるコーナーも用意されており、自由にプレイが可能となっていた。プレイステーションと共に歩んできた「鉄拳」シリーズだけに、揃えられたハードウェアも現役稼働する歴代プレイステーションが用意され、多くのプレーヤーたちが歴代の「鉄拳」シリーズの感触を懐かしんでいた。最新作「鉄拳8」については、歴代シリーズのコーナーとは別に自由に対戦が行なえる対戦台が数多く用意されていた。 会場最奥部は本日のTWT本戦を配信、観戦するメインステージがあるほか、前述のゲームコーナーの並びにはサブステージも設置され、過去の「鉄拳」シリーズ、「鉄拳」~「鉄拳3」でのミニ大会「勝ち抜き!鉄拳王決定戦」が行なわれたり、DJブーストしてミニライブが行なわれるなど、「超・鉄拳祭」の名に相応しい賑やかなイベントとなっていた。 ■ KEISUKE選手は惜しくも初戦敗退……強豪たちが出揃うTOP8を制したのは…… メインステージでは早速TOP16に勝ち残った選手たちによる決勝トーナメントがスタート。ダブルイルミネーション方式のトーナメントにてWinnersの4人とLosersの4人が次々と決まっていく。なお、唯一日本人で決勝トーナメントに進出したZETA VISION所属のKEISUKE選手については、残念ながらLosers初戦にて惜しくも敗れ、TOP8進出は果たせなかった。 TOP16までは2本先取のBO3で行なわれてきたが、TOP8からは3本選手のBO5にて試合が行なわれる。TOP8の前にはDJブースにて、元々ナムコでゲーム音源を手掛けてきたが、現在はフリーで音楽活動を続けるAJURIKA氏こと、遠山明孝氏によるDJコーナーが行なわれ、会場を盛り上げた。 その後は「鉄拳」シリーズのエグゼクティブゲームディレクター/チーフプロデューサーである原田勝弘氏がメインステージに登壇し、「鉄拳8」の最新アップデート情報や、4人目の追加キャラクター発表時期について公開されるなど、会場は都度盛り上がりを見せていた。 TOP8のWinnersに勝ち残ったのは韓国のCBM(CherryBerryMango)選手、サウジアラビアのRaef選手、韓国のRangchu選手、パキスタンのArslan Ash選手の4名、LosersからはパキスタンのAtif Butt選手、アメリカのShadow 20z選手、パキスタンのThe Jon選手、前日のLCQで優勝した韓国のEdge選手の4名となった。 TOP8初戦、Winners SemifinalはCBM選手とRaef選手による風間仁の同キャラ対決だが、ここはRaef選手が3-1で勝利して、Winners Finalに進出を決めた。続く2戦目はニーナ・ウィリアムズを使うArslan Ash選手とクマを使うRangchu選手の1戦はArslan Ash選手が2本連取して一気に試合を決めるかと思われたが、後半はRangchu選手が怒涛の反撃を見せて3連勝で大逆転、3-2でWinners Finalへとコマを進めた。 続くLosers初戦、Edge選手のファランとThe Jon選手のキングの1戦は一進一退の攻防が展開する中、Edge選手が粘りを見せて勝利し、3-2でLosers Quarterfinalに進出を果たした。Losers2戦目、Atif Butt選手のセルゲイ・ドラグノフとShadow 20z選手のザフィーナによる1戦はShadow 20z選手が1本先取後にAtif Butt選手がキャラクターをニーナ・ウィリアムズに変更して一気に2本連取と怒涛の攻めを見せる。次をShadow 20z選手が取り返す形となり、2-2で迎えた最終戦だが、ここはAitf選手がラウンドを落とすことなく一気に決めて3-2でLosers QuarterFinal進出を決めた。 ここで休憩を挟んで、Losers QuarterFinalが開始。最初はLosers初戦で勝利したEdge選手のファランと、先ほどWinners SemiFinalにて敗れたArslan Ash選手のニーナ・ウィリアムズによる1戦。フルカウントまでもつれ込む大接戦だったが、ギリギリのところで粘りを見せたEdge選手が3-2で勝利し、Losers SemiFinalに進む運びとなった。ここで「EVO 2024」で優勝を果たしたArslan Ash選手の敗退が決定した。 続く2戦目は先ほどのLosers初戦で勝利したAtif Butt選手のセルゲイ・ドラグノフとWinners SemiFinalで敗れたCBM選手の風間仁の1戦だが、ここはAtif Butt選手が圧倒的な強さを見せつけ、3-0で勝利して危なげなくLosers SemiFinalに進出を決めた。 いよいよ4人にまで絞られた決勝トーナメント。続く試合はWinners Final! クマでここまで勝ちあがってきたRangchu選手と風間仁を使うRaef選手による対決。戦いは互いにポイントを奪い合う大接戦となり、2-2フルカウントで迎えた最終戦、逆転に次ぐ逆転といった流れで試合が展開する中、最後に決めたのはRangchu選手のクマ! 3-2で勝利し、Grand Fianl進出を決めた。 続いてはLosers SemiFinalの一戦。Edge選手のファランとAtif Butt選手のセルゲイ・ドラグノフによる一戦だが、ここはAtif Butt選手が安定した立ち回りを見せて3-1で勝利し、Losers Finalにコマを進めた。 Losers FinalはWinners Finalで敗れたRaef選手の風間仁と、ここまで好調な立ち回りを見せてきたAtif Butt選手のセルゲイ・ドラグノフのバトルだが、ここでもAtif Butt選手の怒涛の攻めが機能し3-1で勝利し、Grand Final進出を決める流れとなった。 いよいよ迎えたGrand Final、Winners側はRangchu選手のクマ、対してLosersを駆け抜けてきたAtif Butt選手のセルゲイ・ドラグノフによるバトルがいよいよスタート。1戦目1ラウンドはAtif Butt選手のセルゲイ・ドラグノフがラウンドを先制。続く第2ラウンド、スタート直後に画面上にエラー表示が発生して試合が中断となってしまう。審判の調査からどうやらRangchu選手のコントローラーが一瞬外れてしまったようで、このラウンドはAtif Butt選手の勝利という流れとなった。続く3ラウンドもAtif Butt選手の立ち回りがうまく、そのままストレートでの1本先取となった。 「鉄拳8」は攻めのリズムが重要なゲームのため、トラブルが原因でRangchu選手の流れが悪くなる可能性は極めて高い。そんな気持ちで続く2戦目1ラウンド、ここもAtif Butt選手有利で展開しながらも、ギリギリの攻防が続く中、残りタイム2秒というギリギリのところで、Rangchu選手が見事な立ち回りからレイジアーツを決めて逆転勝利を見せてラウンドを先制。その後はラウンドを奪い合う接戦が展開するもここはRangchu選手が1本を取り返す流れとなった。 1-1で迎えた3戦目もRangchu選手の勢いが止まらない! ラウンドは奪い合いの攻防が展開するも最後の最後ではクマがガッツリ勝負を決める。2本連取で優勝への王手を掛ける形となった。2-1で迎えた4戦目もお互いラウンドを奪い合う互角の攻防が展開する中、いよいよ迎えた最終ラウンドは、序盤からクマの猛攻の手が止まらず、途中反撃もありつつ、最後はクマの怒涛の攻めで押し切って3-1で勝利! 優勝は韓国、VARREL所属のRangchu選手となった! Rangchu選手はTWT2018での優勝経験もあり、TWT史上初となる2度目の優勝だ。 なお、グローバルファイナルの賞金総額は30万ドル(約4,500万円)で、30周年を迎えた「鉄拳」シリーズとしては史上最大規模の大会としている。今回優勝した韓国VARREL所属のRangchu選手が獲得する優勝賞金は10万ドル(約1,500万円)となっている。 ■ 選手たちによる胴上げでステージは大盛り上がり! 「会場の声援が力になった!」 試合後はTOP8の選手たちに、「鉄拳」シリーズのエグゼクティブゲームディレクター/チーフプロデューサー原田勝弘氏からのメダル授与が行なわれた。優勝したRangchu選手には巨大なトロフィーも授与され、両手でこれを掲げて勝利の喜びを表現していた。 また、配信上では今大会のリプレイ映像が流れていた時間帯、ステージ上では選手たち同士による胴上げがいきなり始まり、会場はさらなる盛り上がりを見せていた。こうしてTWT2025はRangchu選手が史上初の2度目の優勝を果たすことで幕を閉じる事となった。 大会終了後のメディア向け囲み取材において、Rangchu選手に話を聞くことができた。優勝が決定した瞬間に会場からRangchu選手の名前を呼ぶ激しいコールが起こった時の心境について聞かれると、Rangchu選手は「最近結構調子が良かったので結果を期待されていて、それがプレッシャーになって本当に緊張してしていたんですけど、勝った瞬間はみんなの期待に応えることができたのですごく嬉しかった。僕は日本在住なので友達とかもたくさん来てくれて、そういった応援も力になりました」と緊張していた事を明かした。 なお、配信上でも確認できるが、Rangchu選手のクマによるコンボが始まると会場からはコンボの打撃が当たるタイミングで合いの手のような歓声が響き渡っており、非常に多くのファンが集まって応援している事に加えて、合いの手の声に合わせて会場全体を味方につけていたような雰囲気も感じられた。 使用キャラクターであるクマについて話が及ぶと「クマっていうキャラクターが最初あまり評判がよくなくて、みんなにもキャラ変えた方がいいんじゃないと何回もアドバイスをされていたんですが、色々立ち回り方も試したり、他のキャラも結構試してたんですけど、夏頃にはかなり迷走状態だったんですけど、そこを乗り越えることができて、今に繋げることができたと思うので、周りのアドバイスしてくれた仲間たちとか、一緒に練習してくれた人たちにありがたいという気持ちを伝えたい」とした。 試合内容について、先行されてからの逆転という試合が多かった点については「別に負けた時も内容が悪かったわけではないので、集中力が切れないようにしました。また、ヘッドフォン越しでも自分を応援してくれる声が入ってきていたので、最後まで諦めずに頑張れたのだと思います」とした。 今後、TWT2025に向けて、クマ以外のキャラクターについての予定について聞かれると「普段も色んなキャラクターは常にやっていますが、まだまだうまくいかない事が多かったので、もうちょっとやり込んでから本番で使うかどうかは考えます」とした。また、前作ではパンダを使っていたが今回クマになった点については「『鉄拳7』の頃のパンダとクマはほぼ同じキャラクターだったんですが、『鉄拳8』ではかなり違いがあり、クマの方が性能がよかったので、こちらを使っています」とした。 またGrand Finalの1戦目2ラウンド最初に発生したコントローラーのトラブルについて聞かれると「普段だったら、そこでメンタルやられた可能性もあるんですが、今回はWinners側だったので、ここで取られてもまだまだあるかなというのを思い出す事でメンタルを保つことができました」とし、Winnersサイドにいたことで集中力を切らさずに最後まで戦えた点を語った。 6年前の2018年に初めて優勝し、今回が2度目の優勝となる点について聞かれると「2018年はまだ今の強い選手たちがプロシーンに出てくる前だったので、比較的優勝しやすかったんですが、その後どんどんと強豪選手が増えてきて6年間ずっときつくなってきていて、もうあまりチャンスは来ないのかと思っていたんですが、今回チャンスが来たところを掴めてすごくうれしいです」と率直な感想を語った。 最後に来年1年の目標について聞かれると「来年もずっとランキング上位を保持できるように頑張りたいと思います」としてインタビューを締めくくった。 ■ 日本人選手たちの更なる活躍に期待! 以上、TWT2025 グローバルファイナルの模様と併設の「超・鉄拳祭」についてレポートした。「鉄拳8」は発売初日の世界累計出荷本数100万本、僅か1か月で200万本を突破した大ヒットタイトルだ。本大会のトッププレーヤーたちを見ていても、そのほとんどが海外選手だった事からも、世界レベルでのヒットタイトルであることが再認識できる。 今回初めて国内で開催されたTWT2024のグローバルファイナルだが、会場には早い時間から人が集まり、試合の後半になると歩けなくなるくらいの人だかりとなるなど大盛況となっていた。入場無料の効果も大きかったようで、「鉄拳」シリーズを普段プレイしていない知人と会場でばったり会うなど、30周年の節目ながら「超・鉄拳祭」といったオフラインイベントを併用し、DJブースを用意するなど、格闘ゲームの大会とは異なる雰囲気も感じられ、何よりも会場にいるお客さんたちがみんな楽しそうに「鉄拳」を楽しんでいたのが印象的だった。 「鉄拳8」の対戦は1セットが3ラウンド先取ながら、1ラウンド60秒という時間の短さや、攻め手が有利な仕組みとなっていることから、試合を見ていてもあまり停滞感がなく、爽快感が際立つ試合展開が多いため、あまり「鉄拳8」のゲーム性に詳しくなくても、気持ちよく見ていられる印象だ。 「鉄拳8」というゲームは元々が右パンチ、右キック、左パンチ、左キックを4ボタンに割り当てというシンプルな設計の格闘ゲームだ。3D格闘ゲームのため、軸移動などの要素もあるが、そこ以外は従来の2D格闘ゲームと変わらぬ感覚で初心者でも触れやすい格闘ゲームとなっている。加えて特定のコンボが簡単に繰り出せる「スペシャルスタイル」といったユニークな仕組みも用意されており、さらに遊びやすくなっているので、本大会の様子などを見て興味を持った人が今から始めても十分に楽しめるタイトルと言える。 来年以降、日本国内でこうしたイベントが開催されるかについては、現段階では不明だが、今後日本でも盛り上がりを増すことで、再びTWTが国内で開催される流れに期待したい。そして今回は惜しくも敗れてしまった日本人選手たちの更なる奮闘を期待したい。 (C)TEKKEN8 & Bandai Namco Entertainment Inc.
GAME Watch,池紀彦
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