心が前を向く言葉の数々に反響の嵐!SNSで話題の『天才じゃない私たちが輝くために』著者インタビュー
勉強や受験、部活動、大人でいえば、仕事に子育て…。あらゆることに真剣に向き合っていると、悩みや疑問が浮かんだり、ふと不安になったりすることってありませんか? 【漫画を読む】『天才じゃない私たちが輝くために』を最初から読む そんな日常の中で感じるモヤモヤに、ズバッと回答しているのが『天才じゃない私たちが輝くために ~がんばる前に読みたい23の言葉~』です。著者は、現役美術教師であり、画家であり、漫画家でもある夏目にーに(@212natsume)さん。SNSで多くの反響を呼んだ、生徒たちとの問答を描いたエピソードが収録されています。X(旧Twitter)総インプレッション数は、なんと1億以上! 「いい話」「心に刺さりまくった」と話題のエピソードたちがどのように生まれたのか、夏目さんに聞きました。 ■生徒との会話をベースにした「心に刺さる」エピソードたち 私立高校の現役美術教師として勤務する先生のもとには、悩みや疑問、不安を抱えた生徒たちが毎日のように訪れます。 「やりたいことがない」 「人から好かれる人になりたい」 「好きなことで食べていけるか不安」 「もう辞めたい…」etc. それらに対する、先生の答えとは…? 著者・夏目にーにさんが、実際に生徒と交わした会話をベースに、自身の経験や過去の生徒に共通することを照らし合わせた回答は、まさに目からウロコ。美術という枠を超え、また学生という枠を超え、多くの人に共通する言葉ばかりです。 日々にモヤモヤを抱える、大人にこそ読んでほしい一冊なのです。 ■リアルタイムの反響を求めてSNSで漫画を発信 ――美術の先生であり、画家でもある夏目さん。本作の自己紹介では、30代後半に「やりたいことを全部やって死にたい」と思い、漫画を描き始めたとありました。漫画を描きたいという思いはいつ頃から持っていたのでしょうか? 夏目にーにさん:幼稚園から小学生の頃、家に漫画がたくさんあったので自然にマンガっぽいものを紙に描いていました。当時大ブームを巻き起こした作品に影響を受け、大人同士が闘っている漫画を描いていたと記憶しています。 ――すでに子どもの頃から漫画を描いていたのですね! 夏目にーにさん:小さい頃からマンガを描いては友達に見せたりしていました。高校生になってから美術部に入ってアーティストを目指すようになったので、漫画からは少し離れましたが、息抜きで描いたりはしていました。また大学生の時には、自分でサイトを立ち上げて漫画を発表したこともあるので、不定期ではありますが継続して描いていましたね。 ――死ぬ前にやりたいこととして、漫画を描くだけでなく描いた漫画を「SNSで発表すること」とあったのが印象的でした。 夏目にーにさん:SNSに発表すると、反応があるのが純粋に嬉しいんです。絵画の発表の場合、まったくと言っていいほど私には反響が返ってきません。時間が経ってから偶然会った人に、「去年の個展、見ました!良かったです」と言われることがたまにあるくらいです。それも嬉しいのですが、目に見える形ですぐ反応がほしいのが本音ですし、次のモチベーションにも大きくかかわります。無反応の環境が長かったので、(すぐ反応がわかる)喜びはおそらく人よりも感じていると思います。リアルタイムで返ってくるSNSの反響は、良い悪い関係なく嬉しいです。 ■目標設定は低くても継続することが大切 ――美術教師と画家、先に始められたのはどちらですか? 夏目にーにさん:教員免許は親から取れと言われたので一応取りましたが、本心は「画家のみで活動していく!」でした。絵を教えて生活の糧を得ながらも、軸は作家活動だったので、気持ちの上では画家が先です。 ――では、兼業されることになったきっかけは何だったのでしょうか? 夏目にーにさん:ある方から中学校の非常勤講師の話をいただいて、初めは生徒のためというより生活のために始めましたが、数年たってから若い学生達に教える魅力に目覚めて専任の教師を目指すようになりました。非常勤講師は授業でしか生徒と関わりがなかったので、担任などになって生徒としっかり向き合いたいと思ったのを覚えています。 ――現在は漫画家としても活動されていますね。3つの職業を両立するのは簡単なことではないと思いますが、バランスを取るための秘訣は? 夏目にーにさん:「今日はまず一コマだけでもネームを描く」と、目標設定を低くして早めにやってしまうことがコツです。一度やりだせば、次やる時のハードルも低くなるので、時間がなくても意外に何とかなります。1週間に1度、新作をアップするのがルーティンですので、すごく忙しい時や、体調を崩した時とかは、ページ数を少ない話にするとか、とにかく目標設定を低くして続けることが大切だと思っています。 あとは、酒を極力飲まない、睡眠をしっかりとるなど、体調面はすごく気を使っています。教師の仕事が終わっても、創作に向かえるような気力体力は残すようにしています。 * * * 描いた漫画をSNSで発信することで、モチベーションを上げているという夏目さん。先生と画家、漫画を両立するためのコツも教えていただき、とてもタメになりました。作中で生徒にアドバイスしている内容とも連動していて、ご自身も実践していることが伺えます。 取材・文=松田支信