保護者から離れない、失敗を嫌がる…「不安が強い子」に園はどう寄り添う?
ケース2:感覚過敏があり、イレギュラーな場面が苦手なBさん
普段から集団行動が苦手で、避難訓練や行事など日常と異なる場面で、泣き出したりパニックを起こしたりする4歳のBさん。聴覚過敏があり、耳を塞いで座り込んでしまうこともあります。 ・感覚過敏や見通しがもちにくいと強いストレスを感じる 発達に特性がある子の中には、新しい環境や見通しがもちにくいものに対して強いストレスを感じる子どもがいます。突然の音にも強いストレスを感じるBさんは、避難訓練のサイレンの音に不安や恐怖を感じるのでしょう。 感覚の敏感さから環境へのストレスが高じる子は、苦手なものからまず「離れる」こと。安心できる環境やグッズを準備します。これからなにがあるのか、どうなったら終わるのかなどの見通しがもてると、安心できることも多いです。 【園での支援実例】 ・イヤーマフを積極的に使用 聴覚過敏が強いBさんは、突然の音だけでなく友だちの話し声なども刺激やストレスに。普段からイヤーマフを使って、音の刺激をコントロールできるようにと、家での使用をすすめました。使用に慣れ、園でも活用し始めたBさん。友だちと交流したいときなど、場面に応じて外す判断もできるようになりました。 ・スケジュールボードで具体的に 新しいことが苦手なBさんは、先の見通しがもてると不安が軽減します。そこで、スケジュールボードで1日の流れを一緒に確認するように。たとえば、避難訓練で音が何回鳴るか、何時に終わるのかを伝えて、本人が「やれる」と判断した場面だけの参加にしました。経験を積む中で、徐々に参加できる場面が増えていきました。
ケース3:失敗することを極端に嫌がるCさん
5歳のCさんは、「失敗しそう」「負けそう」だと感じると不安感が高まり、活動への参加を拒否。 椅子取りゲームで負け、怒って椅子をなぎ倒したこともありました。 ・失敗が苦手で勝ちにこだわる 失敗や負けを極端に嫌がり、初めからやろうとしなかったり、ゲームに負けそうになると大騒ぎになるCさん。気持ちのコントロールが難しく失敗をひきずる、ひとつの価値観にこだわり勝ち以外を認められないといった特性が見られます。 みんなと楽しく活動に参加しながら経験を積むためには、参加の仕方にバリエーションをつくる、見通しをもてるようにルールを可視化する、といった工夫と配慮を。不安を軽減する支援が必要です。 【園での支援実例】 ・楽しく参加できる経験の積み重ねを 参加を嫌がるときには、見るだけや保育者の手伝いをするという参加の仕方もOKに。活動に興味をもってきたら、活動の内容やルールを視覚的に示して説明し、少しずつ勝敗や「一番」以外にも関心をもてるようにしました。 ・約束を一緒に確認 Cさんは、一度にひとつのことしか目に入らず、見通しをたてられないために、失敗するのではと不安になる様子。保育者はふせんなどを用意しておき、必要に応じて次になにをするのかを書いて見せるようにしました。その都度一緒に確認をすると、安心できるように。約束が守れたら花丸を描いてしっかりほめることもしました。 ・気持ちを代弁し切り替えをサポート 「悔しい!」「勝ちたかった」というCさんの気持ちを保育者が代弁し、気持ちのコントロールを助けるようにしました。クールダウンできる場所に移動して、切り替えを助けるサポートも。気持ちをすっきりさせて、次の活動に移れるようになりました。