モー娘。小田さくら、櫻井梨央が2024年の目線で語る「モーニング娘。」の伝統と革新
「先に表情ができるようになる子は珍しい」(小田)
―前回のインタビュー時は櫻井さんのコミュ力の高さはまだあんまりファンに知れ渡ってなかったと思うんですけど、そのときに小田さんが「表情をつくるのが上手だから、それを武器にしたほうがいい」ということを話していて、櫻井さんも「そうですよね」みたいなことを言っていて。で、今では櫻井さんの表情づくりの凄さはファンなら皆が知ってますよね。そういう意味では有言実行してるなと思いました。 小田 そうだ! 生写真撮ってるらいりーを見て、当時そう思ったんだ。 櫻井 本当ですか? 小田 そう、スウィング(「Swing Swing Paradise」)の頃。 ―ブログの写真とかを見ても、櫻井さんはグループ随一と言ってもいいくらい、いろんな表情をしていて。 櫻井 うれしいです! 最近は、曲に合わせてしっかり表情をつくらないといけないなって考えるようになったので、そういうところでも成長していきたいなって思ってます。 ―そうは言いますけど、先日の武道館公演(「モーニング娘。’24 コンサートツアー春 MOTTO MORNING MUSUME。FINAL」)でも櫻井さんがビジョンに抜かれたときの表情にはかなりハッとさせられましたよ。あの日、僕は2階席のかなり上のほうの席で観てましたけど、バシバシ伝わってくるものがありました。 櫻井 本当ですか? うれしいです! 普段、ビジョンを意識するだけじゃなくて奥のほうにいる人の顔をしっかり見るくらいの勢いでやってるので、実際に観ていただいた方にそう言っていただけるとすごくうれしいです。 ―最近、何か意識してることはありますか。 櫻井 ずっと意識してるのは、ふとした表情を抜かれないことで、集中してたり気を抜いてると下を見たり口を開いたりしていることがあって、そういう姿がビジョンに映ることで気を抜いてると思われるのが嫌なので、リハーサルでは自分がどこで抜かれてるか絶対確認するし、リハでは映ってなかったところでも本番では映るかもしれないという意識を持つようにしてます。 ―小田さんから見て、櫻井さんはどうですか。 小田 先に表情ができるようになる子って珍しいんですよ。大体、歌とダンスが苦手だからそっちを先にやって、最後に「これでちゃんと表情がつけば完璧だね」という感じなのに、らいりーには「バストアップのショットの意識が強いから、もっと下を意識した方がいいよ」っていうアドバイスをしたんです。私にとって初めてでした、そんなことを言うのが。OCAH NORMAもそうなんですけど、TikTokというバストショットで自分を表現するツールがある時代だから、最近は表情ができる人に対する憧れを持つ子が多いんです。これは時代的なものなんでしょうね。昔は見られるのは全身というのが当たり前という認識だったし、私は「めっちゃダンスがキレイ」とか「足の動きがいい」っていうところを見てたんですけど、今はバストアップショットなんだっていうのをすごく感じます。それができる子は時代に上手くハマって、人から見つけてもらいやすいんだと思うんですけど、やっぱり自分は引きから見る目が抜けてないので、珍しいアドバイスをしてるなって思いました。 ―さっき言っていた「下の意識」というのは足元ってことですか。 小田 そうです。あと、顔に意識が行くと全体的な動きが変わってくるというか、らいりーはそれでもめっちゃ動いてるんですけど、らいりーには姿勢とか、階段の降り方……魅せる降り方と普通の降り方の違いを教えたことがあると思います。「骨盤から歩いて」とか、足の動きが軽やかだとすごく華やかだったり、デキる人に見えるんですよ。あと、モーニング娘。はリズムを大事にしているから、常にリズムをとりながら身体を浮かせるような感覚を持ってほしいというか、そういうことも話したりします。 ―TikTokの影響でバストアップの表現にみんなが注目する中、小田さんはどう対応しようとしていますか。 小田 私は表情を頑張ってます。ライブでは下から抜かれることと、目線の高さから抜かれることがあるんですけど、下から抜いていただくカメラに対してはリアクションしないです。下からのカメラにはお客さんを見てる自分を抜いてもらってると思ってるし、でも正面の画は自分が今つくってる表情を多くの人に伝わりやすくしてもらえるものという認識で、それはすごくありがたいので、この曲に対する表現はこうだっていうところをしっかり映していただけるようにしてます。でも、私はそもそも三白眼で、相当な失敗をしない限りは映ったときに記憶に残りやすい目をしてると思うんですよ。私はライブで抜かれる回数は決して多いほうではなくて、歌割り以外の場面では抜かれないんです。ユニゾンでも絶対に私以外が抜かれてて、私はソロでしか抜かれないので割合的にはかなり少ないんですけど、だからこそコンプレックスだった三白眼を思いっきり活かさなきゃと思いながらやってます。 ―抜かれてない印象はなかったです。 小田 曲の終わりとか、ユニゾンとか、その曲のキメのフレーズでは絶対に私は抜かれないですね。その代わりにソロでは抜かれてるので、そうなるのはわかるんですけど、たまには曲の最後で映りたいなって思います。すごく憧れます。 ―そんな想いがあったとは。 小田 私で終わってるイメージ全然ないでしょ? 櫻井 確かに全然ない……。この前のツアー(「モーニング娘。’24 コンサートツアー春 MOTTO MORNING MUSUME。」)で「怪傑ポジティブA」っていうユニット曲をやってらっしゃったんですけど、その時は曲の最後に小田さんがけっこう映ってて。その時に小田さんがウインクしてて打ち抜かれました。 小田 本当? 私、ウインクできないからした記憶もないんだよね。 櫻井 若干目を細めた感じだったのかわからないですけど、めっちゃ印象に残ってて。(少し声を落として)だから、もっと見たいです、私。 ―今の「もっと見たいです、私」って言う感じ、すごく自然ですね。天然の人たらしですよ。 小田 そうなんですよね。これが櫻井梨央。 櫻井 人が好きなんですよね。好奇心旺盛、ってことにしといてください(笑)。