「あの安倍晋三が帰ってくる...」やり手政治記者が語る、第二次安倍内閣成立を前に財務官僚がパニックに陥った驚きのワケ
権力の監視はメディアの使命なので「御用記者」に成り下がってはいけない。しかし、政治家にただ厳しい言葉を重ねても、それは真の「批判の剣」ではない。そんなジレンマを抱えながら、安倍晋三、菅義偉、梶山静六、細川護熙をはじめとする大物政治家たちから直接「政治」を学び、彼らの本質と向き合った「文春」の元編集長がいた。 漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 数々のスクープをものにした著者がキャリアを赤裸々に語りつくした『文藝春秋と政権構想』(鈴木洋嗣著)より抜粋して、政権幹部と語り合った「密室」の内側をお届けしよう。 「文藝春秋と政権構想」連載第9回 『アベノミクスの「裏の立役者」!?文春元編集長が見つけ出した安倍政権の秘密の「ブレーン」の正体』より続く
民主党政権と霞が関
民主党政権の3年間、とくに三人目の首相となった野田佳彦政権の官邸では財務官僚の影響力は絶大であった。 民主党政権の生みの親である小沢一郎の構想として、発足当初は「脱・官僚」すなわち役人を排除する政治主導を唱えていた。副大臣ポストを新設し、政治家が政策決定の主軸となるべく、役所に乗り込んだ。譬えていえば、「企業(省庁)を社長(大臣)、専務(副大臣)、取締役(政務官)で運営するから、部長以下の社員(官僚)たちは口を出すな」という体制を構築しようとした。 しかし、この大胆な改革は一年も経たずに破綻する。霞が関は大混乱を生じ、あらゆる局面で政治が行き詰まっていく。社長や役員だけでは、会社は回っていかない。 もちろん、民主党の言う「脱・官僚」の理念がすべて間違っていたわけではないだろう。党にもそれなりに優秀な人材は揃っていたし、それまでの自民党政治と決別するという点からも大いに意味があった。 だが、「事業仕分け」に象徴されるように、すべての政策をゼロベースとするなど、余りに拙速に過ぎた。そこに東日本大震災対策の不手際も加わって、菅直人政権以降、民主党は政権のガバナンスを失っていく。