<甲子園交流試合・2020センバツ32校>尽誠学園8-1智弁和歌山 尽誠学園、集中力健在 1番口火、二回5点
◇最終日(17日・阪神甲子園球場) 尽誠学園が序盤に大量点を奪い、13安打8得点で快勝した。同点の二回、菊地の走者一掃の二塁打など5安打を集めて5点を勝ち越した。先発・村上は直球に切れがあり7回1失点。智弁和歌山は序盤の失点が響いた。一回に川上の適時打で1点を先取したが、9安打を放つもあと一本が出ず、二回以降は追加点を奪えなかった。 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら <尽誠学園8-1智弁和歌山> 初球の吸い込まれるようにど真ん中に入ってきた直球を思い切りたたいた。二回1死満塁。ぐんと伸びた白球が左中間深くで弾んだ。「いい感じで当てられたので抜けたなと思った」。尽誠学園の1番・菊地は走者一掃の勝ち越し二塁打をかっ飛ばし、右拳を突き上げた。 この回、一挙5得点。光ったのは積極性だ。智弁和歌山の先発・大林から放った4長短打はすべて3球以内。中前打を放った2番・井脇は「どんどん振っていこうと、みんな気持ちが高まっていた」。一方、相手捕手の石平は「ビデオを見たら1球目は見送る感じだったのに、違っていた」。早めにストライクを欲しがった相手バッテリーを尻目に、持ち味の強打を浴びせた。 ただ、やみくもに振ったわけではない。尽誠学園は「最後の試合」に向け、相手リリーフで150キロ超を投げる小林樹対策として、速度を150キロまで上げた投球マシンで約1時間、ひたすら見ることで目や体感を慣らすトレーニングを続けてきた。「150キロを見ていたおかげで、ボールが見えてミートできた」と菊地。速球が130キロ程度の大林には、しっかり甘い球を見極めて攻略に成功した。 準優勝した昨秋の四国大会では計3回の打者一巡をマーク。好機での集中力は、夏も健在だった。「選手たちが練習してきた成果が表れた」と満足顔の西村監督。「強打の智弁」のお株を奪う13安打で8得点を奪い、18年ぶりに甲子園に校歌を響かせた。【新井隆一】 ◇智弁和歌山、右腕進化 3回無失点、ラスト1球で151キロ 小林樹斗(たつと)投手(智弁和歌山・3年) 1年ぶりに立つ甲子園のマウンドは、打者がよく見えた。 八回2死、打席には尽誠学園の4番・仲村。六回から登板した智弁和歌山の右腕・小林樹は、4球直球を続け、最後もこの日最速タイの151キロの高めの直球で空振り三振に仕留めた。最初から全球直球勝負と決めたわけではなく、1球ごとに相手の仕草を観察し「直球に反応ができていない」と判断した結果だった。 1年前は打者を見る余裕がなかった。2度目の甲子園で初先発だった昨夏3回戦の星稜(石川)戦。「良い球を投げたい、投げたいと自分中心の投球だった」と、四回途中1失点で降板した。一方で星稜・奥川恭伸(現ヤクルト)の冷静な投球を目の当たりにした。「奥川さんと投げ合えたのは野球人生においてプラス」と目指す投手像を手に入れた。 自分自身と戦うのではなく、打者と駆け引きをするには実戦経験が必要と考え、体力強化期間の冬場も打者を立たせて投げ込んだ。球速は148キロから、今夏には最速152キロまで到達。「6、7割の感覚」で140キロ台後半の直球が投げられるようになった分、打者を観察できる余裕も生まれた。 3回を3奪三振無失点。「昨年より、少しは奥川さんに近づけたかな」。成長を実感した42球だった。【安田光高】 ……………………………………………………………………………………………………… △午後0時39分開始 智弁和歌山(和歌山) 100000000=1 15020000×=8 尽誠学園(香川)