今選ぶべき“ノンデイト”な腕時計4選──ルイ・ヴィトン、パテックフィリップ、ブルガリ、グランドセイコー
ヴィンテージブームを受けて、時計業界もクラシック回帰が加速。デイト表示を省略するモデルが充実してきた。注目すべき4モデルを時計ジャーナリストの広田雅将が厳選紹介する。 【写真を見る】時計好きも納得のノンデイト文字盤を拡大チェック!
ノンデイトのモデルが人気!
長らく、時計業界にはこういう定説があった。曰く「機械式の腕時計は、自動巻きの日付付きしか売れない」というものである。 しかし、ここ数年のヴィンテージ時計への回帰傾向も手伝って、ノンデイトのモデルが人気を集めるようになってきた。理由は3つある。 1つは時計の複数持ちが当たり前になって、日付表示がなくても問題がなくなったこと。そして、多くの時計好きが指摘してきたように、ノンデイトのほうが文字盤がシンプルになり、単純に格好いいというのが理由だ。 話は文字盤だけにとどまらない。日付のない方が時計自体を薄くしやすい、というメリットもある。なお、手巻き時計には日付を付けない、という定石通りの構成を持つのは、グランドセイコーやパテック フィリップの手巻きモデルだ。 一方、ルイ・ヴィトンのタンブールは、定番にもかかわらず、見た目のために潔く日付表示を省いてしまった。そして、薄さを求めるべく、表示をなくしたのは、ブルガリの「オクト フィニッシモ」だ。その理由は様々だが、これらのモデルには凝った文字盤を特徴とするという共通点がある。 今後、この流れを受けた各社がより文字盤に力を入れるようになると、日付表示を持たないモデルは、いっそう増えていくに違いない。 LOUIS VUITTON タンブール オトマティック スティール シルバー SSケース×ブレスレット、自動巻き、40mm径。¥2,618,000 by LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン クライアントサービス) メタルブレスレットとケースを一体化して、シックかつスポーティに再解釈したユニセックスモデル。6時位置にスモールセコンドを配置した日付のないデザインは、1940年代や50年代の腕時計を思わせる雰囲気も魅力だ。新旧を巧みに融合した意欲作である。 GRAND SEIKO SBGW305 SSケース&ブレスレット、手巻き、37.3mm径。¥715,000 by GRAND SEIKO (セイコーウオッチお客様相談室/グランドセイコー) 時計好きから高い評価を受けるグランドセイコーの手巻きモデル。膨らんだ本作の文字盤には、確かに日付表示は似合わない。手巻きにもかかわらず、約3日間の駆動時間を誇る。ボックス型のサファイアガラスがエレガントだ。 BVLGARI オクト フィニッシモ ウォッチ SSケース&ブレスレット、自動巻き、40mm径。¥1,980,000 by BVLGARI(ブルガリ ジャパン) 一躍ブルガリの名前を時計業界で轟かせたオクト フィニッシモ。極薄時計にもかかわらず、普段使いできるだけの堅牢さと防水性を誇る。文字盤をあえてマットに仕立て、日付表示を省くことによって、時計のミニマルさを強調する。 PATEK PHILIPPE カラトラバ《クルー・ド・パリ》Ref.6119 18KWGケース×アリゲーターストラップ、手巻き、39mm径。¥4,840,000 by PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター) 薄型手巻きで日付なしというドレスウォッチの定石を今なお守る定番モデル。インデックスを伸ばし、立体感を強調することによって、デイト表示がない時計にありがちな文字盤の間延び感をセーブしている。隙なくディテールを詰めた、マスターピースだ。 WORDS BY MASAYUKI HIROTA