AirPods Pro 2の「ヒアリング補助」で広がる新たな可能性、最も身近なイヤホンが実現する「機能」の意義
アップルの『ヒアリング補助機能』は補聴器とは違って、軽・中度の難聴の場合に『ユーザーによる補聴のための音の増幅に関する設定を行うために使用される家庭用のプログラム』となっており、『管理医療機器』としての認定を受けている。しかし、本来、飯塚さんのような中等度、高度の難聴の場合は、医師による診断を受けるべきで、飯塚さんもそうされている。 今回は、あくまで取材として、AirPods Pro 2のヒアリング補助機能を利用してもらって、どの程度の効果があるのかを聞いてみるという意図のために試用してもらったことをご理解いただきたい。また、『難聴』といっても、原因も症状もさまざまなので、もし、ご自身で「難聴かな?」と思ったら、ぜひ医療機関の診察を受けていただきたい。
飯塚さんは、若い頃のアクシデントで右耳が聞こえづらくなったそうだ。衝撃を受けてすぐは大丈夫だったのだが、長い時間が経つうちに徐々に聞こえにくくなったという。特に低音が聞こえないとのこと。対して、左耳は医師の診断によると心因性のものらしい。ストレスを受けたことが原因で難聴になったそうで、音程が半音ズレて聞こえたりとやっかいなものだという。音楽を聴いても、すべて音痴な人が歌っているように聞こえるそうで、iPhoneからはMusicアプリが削除されていた。
現在、普段は左耳に医療器具としての補聴器を使っている。価格は約10万円とのこと。会話などは可能になるが、人の声の領域を強調して伝えるので、ツンツンした音になり長時間使うと疲れる面もあるとのこと。音程がズレて聞こえるので、警告音が警告音に聞こえなかったり、左右の聞こえる度合いが違う(右の方が聞こえにくい)ので、音の方向が分かりにくのが困る。たとえば、話しかけられた方向、クルマの来る方向が、音からわからないのは不自由だという。
■飯塚さんに、『ヒアリング補助機能』を試してもらった まずは、AirPods Proの『ヒアリングチェック』をしてもらった。 医療機関の診断(右耳が中等度難聴、左耳が高度難聴)と、同じ結果が出たことになる。 次に、『ヒアリング補助機能』を試してもらった。『ヒアリングチェック』をすると、iPhoneの設定画面に『ヒアリング補助機能』のボタンが現れ、それをオンにすると『ヒアリングチェック』で計測した検査結果に基づいて外部の音が強化されてAirPods Pro 2から聞こえるようになる。つまり、低音が聞こえにくければ低音を平常レベルになるように強調してくれるということだ。